パリ五輪では準々決勝でスペインに敗れ、今大会もメダルの獲得はならなかったU23日本代表。
パリの決勝ではスペインが延長戦の激闘の末にフランスを破って優勝したが、この大会を振り返って思い出されるのが3年前の東京五輪でフランスに4-0で圧勝したU24日本代表の存在だ。
なぜ日本はフランスに勝てたのか。そしてどれほど強かったのだろうか。
久保、堂安プラスオーバーエイジで圧倒
2020年に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で1年延期となり無観客で行われた東京五輪。サッカーの年齢制限も24歳以下に変更された。
U24日本代表は久保建英や堂安律、冨安健洋、田中碧、上田綺世、中山雄太ら、A代表クラスのメンバーが名を連ね、ここにオーバーエイジで当時のA代表のキャプテンだった吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航が加わり、歴代最強の呼び声も高かった。
前評判通りにグループリーグでは初戦の南アフリカ戦に1-0で、続くメキシコ戦に2-1で連勝し、第3戦のフランス戦を迎えた。
ポゼッションと縦への速さのバランスに優れる
フランス戦は相手もグループリーグ突破の可能性を残しており、欧州の強国相手に厳しい戦いになることが予想された。
それでも日本は落ち着いて試合を進める。前半27分、久保への縦パスで一気にスピードアップすると上田へつなぎ、ペナルティーエリア右から上田がシュート。GKが弾いたボールに反応した久保が左足を振り抜いて先制した。
前半34分にはカウンターから中央突破。久保のスルーパスから上田が再びシュートを放ち、GKが防いだボールに今度は右サイドバックの酒井が詰めて追加点を奪った。
後半25分には途中出場の三好康児のミドルシュートで3点目、後半46分にはカウンターから相馬勇紀、前田大然と繋いで4点目を奪いとどめを刺した。
日本のメンバーは若くして海外経験豊富でA代表経験者も多く、ポゼッションと縦に速く攻撃する時を使い分ける判断力に長けていたのが勝因だった。
史上最強でもメダルには届かず
ワールドカップでは優勝経験もあるフランス代表。世代別とはいえ、4点を奪われての敗戦に、フランスメディアも「日本に粉砕された」と報じた。
フランスにビッグネームはいなかったが、現在はパリ・サンジェルマンでプレーするFWコロ・ムアニら有望株もおり、日本でも「リーグアンでプレーする選手が多いチームに4-0はすごい」と期待感が高まった。
しかし、日本は決勝トーナメントでは、準決勝でスペインに延長戦の末に0-1で敗れ、3位決定戦ではグループリーグで勝利していたメキシコに1-3での敗戦となり、メキシコ五輪以来53年ぶりのメダルにはあと一歩届かなかった。
試合後にしゃがみ込んで号泣する久保の姿が、メダルにかける思いと悔しさを物語っていた。
パリ五輪でもメダル獲得とはならなかったが、東京五輪からカタールW杯へ繋げたようにパリのメンバーからもA代表で活躍する選手が出てくるだろう。日本代表のさらなる躍進に期待したい。