[天皇杯ラウンド8、J2ジェフユナイテッド千葉0-3J1京都サンガF.C.、18日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉は0-3で京都に完敗。この一戦はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入された試合であり、千葉にとってクラブ初のVAR下での一戦となった。普段経験していない環境での試合に指揮官と選手との間でVARの認識に温度差があった。

千葉の小林慶行(よしゆき)監督は「事前準備のところで、セットプレーやシュートブロックで手に当たっているかどうかが明確に確認されると共有しました。J2とは違う部分なので選手に情報を与えましたが、特段気にすることではありませんでした」と明かした。

馴染みのないVARに沸いたフクアリだったが、千葉はテンポ良くパスを回す京都に対して、力強くプレッシャーをかけられなかった。防戦一方の展開にサポーターはVARの存在を意識する瞬間すら与えさせてもらえなかったが、ピッチ上の選手たちは少なからず影響を受けていたようだ。

右サイドバックで先発し、後半から本職のセンターバックを任せられたDF久保庭良太は「ゴール前で行き切れない部分がありました。予測の部分とかで解決できると思っているので、そこの対応はもっとできるようにしていきたいです」とVARの存在に臆する場面があったという。

10年ぶりの天皇杯ベスト4進出の目標は儚く散った。最後にベスト4へと駒を進めた2014年の天皇杯準決勝では、J2モンテディオ山形と対戦して千葉は2-3で敗退した。

この日先発していた22歳は、中学から千葉のアカデミーに入団した生え抜きだ。当時千葉のU-15チームに所属していた背番号52は、この敗戦を糧にすると誓った。

右足首疲労骨折で長期離脱していたため久々の復帰戦となった久保庭は「センターバックとサイドバックの違いを感じた。もっとうまくラインコントロールもできたと思いますし、体力面はまだ物足りない。コーチングの部分とスピードを上げていきたいです」と、久々の試合出場に満足していない様子だ。

今季序盤から頭角を現していた大卒ルーキーのパフォーマンスは、まだまだこんなもんじゃない。長いリハビリ生活の末に進化したプレーをサポーターにいち早く届けたい。

「復帰直前になってチームの状況が良くなってきて、競争も激しくなっている。天皇杯ベスト8という大きな舞台で復帰できた事実をプラスに捉えて、競争に勝ちたいです。きょうは悔しいですが、リーグ戦が残っています」と奮起した。

生え抜きの22歳は、千葉でJ1を戦いたいと切望している。この試合でも復帰戦ながらビルドアップや競り合い、カバーリングで存在感を見せた久保庭は、決意を新たに残りのリーグ戦に挑む。

「このクラブのアカデミーで育ってきた自分にとって1番理想的な形は、このクラブでJ1に行くことです。そのために練習からアピールして試合に絡みたいですし、最終的には昇格に持っていきたいです」

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千葉にとって初のVARは悔しい敗戦となった。J1のスタンダードを知った久保庭はこの経験を糧にして、チームをJ1復帰に導いてみせる。

(取材・文・写真 浅野凜太郎)

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