近年、サッカー界に破格の投資を行ってきたサウジアラビア。
プレミアリーグのニューカッスルを実質的に買収、政府系ファンドが保有する国内クラブは桁違いの給料を提示してクリスティアーノ・ロナウドらを引き抜き、2034年のFIFAW杯開催も実質確定している。
今年4月にはFIFAとサウジの国有石油会社サウジアラムコが4年間のスポンサー契約も締結した。
ただ、『BBC』などによれば、100人以上の女子トップサッカー選手がFIFAに対してサウジとのスポンサー契約を打ち切るように求める書簡に署名したという。
サウジは女性や同性愛者に対する人権問題を抱えており、スポーツを利用してそれを隠蔽しようとする「スポーツウォッシング」と活動家たちから批判されてきた。
30歳の女性が、女性が結婚や旅行をするには男性の親族の許可が必要であると定める規則の廃止をSNSで訴えたとして、懲役11年の刑を言い渡されたほか、女子大学生が女性の権利を支持するSNS投稿をしたとして懲役34年の刑を宣告されるなどしているという。
女子サッカー選手たちが署名した書簡はこのようなもの。
「サウジアラビア当局は、政権の残虐な人権侵害の評判から目をそらすために、スポーツのスポンサーシップに何十億ドルも費やしてきたが、女性に対する扱いはそれを物語っている。
私たちが声をあげるのは、人権が侵害されているサウジアラビアの市民と共にあるからこそ。私たちはこのような人権侵害の隠蔽に加担したくない。
私たちはFIFAに対してサウジアラムコとのパートナーシップを再考し、男女平等、人権、地球の安全な未来と価値観が一致する別のスポンサーに変更するよう強く求める。
気候危機に対して明白な責任を負っている企業、 LGBTQの個人を犯罪者とし、女性を組織的に抑圧する国家が所有する企業は、私たちの美しいゲームのスポンサーにふさわしくない」
この書簡に署名したひとりであるマンチェスター・シティのオランダ女子代表FWフィフィアネ・ミーデマも「サッカー選手として、特に女子サッカー選手として、私たちは世界と次の世代に正しいことを示す責任がある。このスポンサーシップは、FIFAが掲げているものだけでなく、私たち女子サッカー選手が掲げているものにとっても正しくない」と話している。
一方、FIFAは「アラムコとのパートナーシップを評価している」としつつ、スポンサー収入はあらゆるレベルの女子サッカーに再投資されると強調したとのこと。