20得点は当たり前のレベル

高岡の先制弾に沸いたフクアリだったが、「まだまだ満足していない」とエースはその後も得点を狙い続けた。

前半17分には左サイドからのクロスボールをボックス内でトラップすると、落ち着いて左足で流し込み2得点目を記録。日章学園高は勢いそのまま3得点、4得点と相手を突き放した。

前半37分には失点を許すも、直後の同43分にエースが直接フリーキックからヘディングでハットトリックに成功。前半だけで5-1と圧巻の強さを見せた赤黒のイレブンは後半のダメ押しの1得点を高岡がアシストし、6-1の圧勝で初戦を突破した。

期待通りの活躍を見せたエースストライカーは「何得点取れたからというよりも、1得点を取れたことがすごくうれしい」と自身の選手権初得点を嚙みしめた。それでも「自分のやってきたことを考えれば、まだまだ得点を取れると思う」と無得点に終わった後半を反省した。

「数字だけを見ればハットトリックという、いい形で終わりましたが、4、5、6得点いけたと思うので、そこがまだ成長していない部分です。自分がやってきたことは間違っていなかったと思いました。6得点以上取れる選手だと思うので、次の試合ではもっと見せていきたいです」とゴール量産態勢に入っている。

ハットトリック後も、シュートを外すたびに本気で悔しがる姿が印象的だった。隙あらば足を振り抜き、両チーム最多となる9本ものシュートを打ったが、自身のパフォーマンスには納得していない。

健闘を称え合った高岡(左)と西目主将DF堀田昊生(こうせい)

20得点へ到達するためには、1月13日に国立競技場で行われる決勝戦までの間に残り5戦で1試合あたり3得点以上を奪う必要がある。それでも半端ない男を越えると宣言した背番号14は不可能を可能にする。

「20得点はいろいろな人から『大きい(目標)』と言われますが、自分としては20(得点)が普通。いろいろな声がある中で、自分とチーム、そして保護者やスタッフを信じて、得点を取りたいです」と周囲の声をはねのけていく。

大舞台で自身の価値を証明した17歳は、試合後にファンからのサインに応じるなど、すでにスターの風格だ。

「いろいろ人が家で(試合を)観ていますし、子どもたちもここに来ている。(選手権は)その人たちに夢を与える場所ですし、自分も夢を与えてもらった。高校サッカー選手権は最後の大会ですし、日本一を取って終わりたいです」

日章学園高は2回戦で栃木県代表の矢板中央高と対戦する。堅守速攻を武器に選手権の常連として名をはせてきた名門に対しても、臆する様子は一切見られない。

「(得点を)取れるだけ取りたい。(矢板中央高とは)赤同士だけど、日章の赤の方が強いと思いますし、勝ちます。矢板の壁というか、すごく粘り強い守備ですが、自分はそこをぶっちぎりたい」と東西の赤黒対決を制する。

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「もっと注目してほしい。プレッシャーがほしい」と報道陣に呼びかけた。優勝と得点王の2冠に向けて最高のスタートを切った日本の期待を背負うエースが、『半端ない』を超える活躍を見せる。

(取材・文・撮影 浅野凜太郎)

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