チェルシーの対応。受ける前のフェイクと、クッションプレー。

これを利用したウィリアンが、反撃に出た場面も興味深い。

ヴェッラーティがコースを優先して潰す以上、どうしても彼は背後のウィリアンとボールの出し手を常に同時に視野に収めることが出来ない。それを利用したウィリアンの崩しが、この画像の場面だ。一度内側へのランで、振り返るヴェッラーティの位置を調整。そして、彼がマティッチに意識を移した瞬間に外へとステップ。

華麗なフェイクによって、外側でボールを受けることに成功。誰もウィリアンのプレッシャーに行ける状況ではなく、攻撃の枚数が揃っていれば決定的なチャンスにもなり得た場面と言える。

こういった崩しの中で、一番の成功例がこの場面だろう。

サイドに流れたCFのコスタにボールを当て、セスクがヴェッラーティの裏から現れてボールを受ける。更に、ここに内側に走り込むアザールが加わったことで、瞬間的に数的不利な状態に。1つクッションを挟まれることで、守備体系が崩されてしまった例と言える。

縦パスのコースを潰していたとしても、他の選手に当てられて横パスを出されてしまっては、どうしようもないということだ。

本来はこういった場面で底を守るべきダビド・ルイスも、何故かボールホルダーを封じようと前に出て行ってしまっており、実際この場面はヴェッラーティがなんとかファールで止めることになった。彼はこの場面でイエローカードを貰ってしまっており、チェルシーの対策による代償は大きいものだった。

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