社会主義国の衰退
第二次世界大戦後、アメリカとソ連を中心に“冷戦”が行われた。アメリカの民主主義とソ連の社会主義どちらが優れているのか?競争は政治や軍事の面だけでなく、宇宙開発、学術、果てはスポーツの分野にまで及んだ。
スポーツの分野において、社会主義国はエリートを早くから専門の学校に入れてエリート教育をすることでその力を発揮。サッカーの世界でも同様の事が行われた。例えば、チェコの選手の経歴では、幼少の頃からキャリアが記載されている。これは過去の名残りである。
また、ソ連、またその統治下にあったハンガリーを代表例に、チェコスロバキア、ユーゴスラビアなど社会主義国は20世紀半ばのサッカー界において抜群の成績を残している。
<主な社会主義国のW杯好成績数>
国名 | ベスト4以上の成績 | 取得年度 | 現在の状況 |
---|---|---|---|
ソ連 | ベスト4:1回 | 1966 | *複数国家に分裂 |
ハンガリー | 準優勝:2回 | 1938、1954 | *1989民主化(その後W杯出場0) |
チェコスロバキア | 準優勝:2回 ベスト4:2回 |
1934、1962 1938、1990 |
*チェコとスロバキアに分裂 |
ユーゴスラビア | ベスト4:2回 | 1930、1962 | *複数国家に分裂 |
ポーランド | ベスト4:2回 | 1974、1982 | *1989民主化(その後W杯出場2) |
しかし、社会主義が崩壊した1990年代以降の衰退は驚くほどに早かった。ソ連崩壊後、ロシアは1994年、2002年と、2度のW杯しか出場できず、参加したどちらの大会においても、予選グループを勝ちあがることができなかった。“マジック・マジャール”と呼ばれ恐れられたハンガリーは1986年以降W杯の舞台にあがることすらできていない。民主主義国の象徴でもあるアメリカが1990年大会以降6大会連続でW杯に出場しているのとは対照的である。