そしてシンポジウム、その先へ

このように、神宮外苑の歴史的意義から説き起こしてその対応策までの道筋を明確に示しながら、その認識に観客の快適性やスポーツ文化育成への欠落が見られる一連の問題提起でしたが、日本建築界の大御所である槇文彦が唱えた事は非常に大きな影響を与えたようです。

私が「ケンプラッツ」でこの記事を見たのは9月17日で、日本建築家協会から引用の許可をいただいたのは翌18日でした(そこからなんという遅筆!)。既にその時、シンポジウムの開催は予告されていましたが、問い合わせが多かったために当初予定の会場から変更し、収容人数を大幅に拡大したという情報を、9月25日にシンポジウム実行委員会からいただきました(「ケンプラッツ」での追記は9月30日)。さらにその後、U-Streamでの生配信も決定して、より多くの人がこのシンポジウムを視聴できるようになりました。

さらに一般の新聞各紙でも、槇へのインタビューなどが相次いで掲載されています。確認した限りでは、9月23日に東京新聞で最初に取り上げられ、24日には朝日新聞が朝刊の社会面で掲載しました。朝日は翌25日朝刊に「天声人語」の題材にもしています。シンポジウム2日前の10月9日にはMSN産経ニュースでも配信されました。3紙とも槇の主張を談話の形で取り上げ、「五輪による巨大計画への異議」という視点で幅広い議論を呼びかけるその姿勢を肯定的に評価しています。

☆各紙記事
東京:「神宮の森 美観壊す」 20年五輪 新国立競技場巨大すぎる
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tokyo_ol...
東京:東京開催良いが…社会へ説明義務 槇文彦さんに聞く
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tokyo_ol...
朝日:異議あり、新国立競技場計画 建築家・槇文彦さん(注:冒頭のみ無料公開)
 http://www.asahi.com/culture/articles/TKY201309230...
産経:新国立競技場案「巨大過ぎる」建築家・槇文彦さんが疑義、幅広い議論を
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/131009/art13100...

シンポジウムの賛同者もそうそうたる物です。34人のうち、日本建築学会の作品賞を受賞したのが10人います。また、多くの人が東大工学系大学院の建築学専攻を修了した、槇の後輩です。直接指導を受けた人も多いでしょう。なお、シンポジウム委員会代表の元倉眞琴は東京芸大の出身者で、現在は同大教授です。このように、現在の肩書は東大や他大学の教授、あるいは個人の建築設計事務所代表などと様々ですが、現在の日本の建築界を主導する面々だと言っても良さそうです。

最後に、シンポジウムの情報を改めて、「ケンプラッツ」からの引用の形で紹介します。

シンポジウム「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」
パネリスト:槇文彦、陣内秀信、宮台真司、古市徹雄(兼進行)

日 時:2013年10月11日(金)18:00~20:00

場 所:日本青年館中ホール(東京都新宿区霞ケ丘7-1)
<追記:国立競技場代々木門そば、南側バックスタンド(陸上の第2コーナー)裏手>

会 費:一般1000円、学生500円

定 員:先着350人(定員を超えた場合は別室にてモニター上映の予定)

インターネット中継:当日、下記のURLにて中継の予定)
http://www.ustream.tv/channel/jia-kksk

この方々がシンポジウムやその後の活動を通じ、ハディドを選んだ日本スポーツ振興センターに対してどのような対案を出すのか、そしてそこに観客やサポーターの声は届くのか。これからも注目していきたいですし、シンポジウムの模様もこちらで報告できればと考えています。

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