・680――疑われる試合

現在は英国でスポーツ警備保障会社を運営するテリー・スティーンズ氏は言う。彼はかつてFIFAで調査官を務めていた。

『ミスター・タンとミスター・ペルマルは、チームを招待し、トーナメントを開催した。それは誰も観戦していない。テレビ放映もされていない。全ては賭博市場のために組織されたのだ』

2011年2月、八百長シンジケートは、最も奇妙なトーナメントを企画し、組織した。エストニア、ブルガリア、ボリビア、そしてラトビアの代表チームをトルコのアンタルヤに招待したのである。

大会の試合は、ほぼ空のスタジアムで行われた。テレビ放映もされなかった――しかし、アジアの賭博市場では数百万ドルを集めていた。

7つのゴールは全てペナルティキックによって生まれた。全て、シンジケートが選び、派遣した審判によって与えられたものだ。

『とても大胆な行為だ。彼らはスタジアムを借りた。チケットを売らなかった。ファンを中に入れなかった。テレビ放送はない。4つの代表チーム。審判は買収され、賭博市場に金が流れた。あまりにも図々しい』

FIFAは最終的にレフェリーを追放した。

2013年2月、ユーロポールは『ワールドカップ予選、そしてチャンピオンズリーグの試合を含め、2008年から2011年までに世界中で行われた680の試合において、結果が操作された疑いがある』と発表した。調査者は、ほとんどがタン・シート・エング氏のグループによる仕事だと言った。

イタリアでは、タン・シート・エング氏はバルカン系の組織と手を組み、組織的な犯罪を行うことに成功していた。20を超えるイタリアのプロサッカーチームが、八百長試合の疑いによって調査された。

イタリアの国立組織犯罪対策チームの幹部は、タン・シート・エング氏をマークした。『イタリアで最も探すべき男』と。

『タン・シート・エング氏と彼の率いるグループは、危険で暴力的な犯罪ネットワークを構築しており、いかなる時も規則を破っている』

『メンバーのうちの一人が証言している。彼らは反逆については少しも許さない。殺人も厭わないグループであると』

タン・シート・エング氏のシンジケートはまた、アメリカで行われた試合も操作していた。2010年には、エルサルバドル代表チームの選手の多くを説得し、試合を投げさせた。マイアミで行われたDCユナイテッドとの試合だ。

エルサルバドル人の選手の多くは、これによってサッカー界から永久追放の処分を受けた。