・18年後の復活劇

その事故から 18年あまりが経過した2012年のアフリカネイションズカップ。ザンビアは再びサッカー界で光を浴びることになる。それは、奇しくも事故の現場となったガボン、そして赤道ギニア共同開催の大会であった。

初戦で強豪セネガルを2-1で破る最高の立ち上がりを見せたザンビアは、グループAの開催国であった赤道ギニアにも勝利し、首位で決勝トーナメントに進出。

さらに、赤道ギニアで行われた準々決勝、準決勝でスーダン、ガーナを破り、決勝戦へと駒を進めた。

それは、ザンビアにとってこの大会唯一のガボン開催の試合だった。まるでかつての英雄たちに導かれたかの如く。

協会の会長となっていたカルシャ・ブワルヤ氏が見守る中、迎え撃つ相手はアフリカ最強と言われていたコートジボワール。

決勝戦は互いに死力を尽くして戦ったが、ドログバのペナルティキックが外れるなどの場面もあり、延長戦を含めた120分を消化しても得点は動かず。

持ち込まれたPK戦でも、互いに7人目までが全て成功、8人目がともに失敗するという拮抗した展開となる。

9人目。先攻のコートジボワールはジェルヴィーニョが右に外し失敗。そして、運命の一本を任されたCBストピラ・スンズが右にシュートを蹴り――ネットが揺れた。

そして、歓喜の輪に向かう一人の男に大きな注目が集まった。

トレードマークである白いシャツを着たフランス人の紳士は、前半11分に足を負傷して涙ながらにピッチを離れたDFジョセフ・ムソンダを抱き上げ、仲間の元へと走っていた。

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