バーンリー (昨季チャンピオンシップ2位)【第3節観戦】

【指揮官の戦術を具現化しきれるか。現実と理想の乖離が問題】

・Positive Aspect

前線、特にルーカス・ユトキエヴィッツの健闘が目立ったように、プレミアレベルでも前線でポストプレーをこなせそうな選手の存在は大きい。昇格組の中でも前線のクオリティは高く、スコット・アーフィールドも溌剌としたプレーを見せていた。後は、ここに未完の大器ダニー・イングスが上手くフィットしてくれば、チャンスを作り出すことは出来るはず。また、指揮官ショーン・ダイクによって良く纏め上げられており、組織としてのレベルも高い。指揮官のアイディア自体も多彩で、観戦したマンチェスター・ユナイテッド戦では様々なアイディアで3バックを攻略した。

・Negative Aspect

個々が指揮官のアイディアを90分間具現化していくクオリティには達していないことから、後半になっていくにつれて狙っていたプレーをこなせなくなっていったのは不安要素。また、守備陣が非常に薄い。チャンピオンシップでは通用していたとのことだが、明らかにトップクラスで通用するレベルではない。特に個と個に分断されてしまうと、相手チームのエースクラスを抑え込むことは難しいだろう。だからこそ移籍市場ではDFのレンタルを積極的に行っていたように、プレミアで通用するクラスの守備陣を構築していかないことには残留も難しくなってくるだろう。前線のクオリティも比較的高いとはいえ、若い選手が多いことはネガティブな面も。安定感を失ってしまえば、前線の歯車が狂うことも考えられる。

・New Player

ルーカス・ユトキエヴィッツ

身長185cmの大型ストライカー。前線でフィジカルを生かしてポストプレーをこなし、プレミアレベルでもある程度前線の的として期待出来るところを示した。サイドに流れるような監督からの指示も忠実にこなすように、チームの戦術として重要な選手となってくるはずだ。

・Key Player

スコット・アーフィールド

献身的に上下動をこなすスコットランド人アタッカーは、積極的な仕掛けで違いを作ることを期待されそう。ユナイテッド戦では、ルーカス・ユトキエヴィッツが空けたスペースに飛び込んでいくようなプレーをこなしていた。周りとしっかり連携しながら仕掛けるスタイルで、多くのチャンスを作り出してくれるはず。

デイヴィッド・ジョーンズ

マンチェスター・ユナイテッドのユース育ちという、チャンピオンシップのチームには良くいる肩書きを持ったMF。とにかくボール扱いに優れた選手で、ウィガン時代はパス成功率が常にチームでトップクラスだった。特に楔の縦パスは秀逸で、守備から攻撃に移行する上で重要なタスクを背負うことになるはず。守備面は献身的だが、スキル自体はそこまで高くない。

・Potential Player

ダニー・イングス

その俊足を生かしたプレーで注目を浴び、イングランドU-21 代表にも選出されている若きエース候補。バーンリーでは10番を背負い、少ないチャンスを決める大役を任される。若さゆえの無理な仕掛けが抜けてくれば、そのスピードを生かして本物になれるはず。

・Deadline Deal

マイケル・キーン

マンチェスター・ユナイテッドからレンタルしてきた若手の星。CBとしてプレーし、プレシーズンや序盤はファン・ハールに3バックの一員として試された。そこまで傑出したクオリティがあるようには見えないが、若さに似合わない冷静なプレーとアタッカーに対する慎重な駆け引きが持ち味。カバーリングなどを得意とするタイプなので、守備の向上を手助けできれば面白い。