レスター(昨季チャンピオンシップ1位)【第2節、第3節観戦】

【守備力には自信も、主力の離脱と前線の薄さをどのように乗り切るか】

・Positive Aspect

典型的チャンピオンシップのDF、という感じで対人には滅法強いモーガンを中心とした守備は堅い。相手のエースをモーガンが力づくで抑え込み、守護神シュマイケルのセービングで乗り切る守備は荒削りながらプレミアでも通用するはず。細かい戦術的基盤が出来ている訳ではないが、フィジカルを生かして泥試合に持ち込むことに慣れており、スマートなフットボールを目指すようなチームにとってはやりづらい相手になりそうだ。また、第3節にはチームの中心として期待されるMFドリンクウォーターが復帰。エステバン・カンビアッソの加入で守備に緻密さが加われば、面白いダークホースになってくる可能性も。

・Negative Aspect

現状ある程度上手くいってはいるのだが、フィジカルで押して相手のペースを乱し、泥試合に持ち込んでいくスタイルには不安も多い。ファウルトラブルも増えてくるだろうし、今後はパターンを増やしていくことも求められてくるだろう。また、守備に自信があるとは言っても、頑なに2トップを前線に残そうとしていることはDFラインに負担をかける原因にもなり得るまた、守備の要であるモーガンが離脱するような事態になってしまうと、残留は難しい。また、ニュージェントやウジョアなどの攻撃陣はプレミアリーグで通用するレベルには達していない印象。ウジョアが馴染んでくることと、新加入のニック・パウエルとトム・ローレンスのマンチェスター・ユナイテッド組に期待か。

・New Player

レオナルド・ウジョア

フィジカルでゴリ押すタイプのように見えて、意外と器用なところを見せるストライカー。プレーエリアは広く、エリア外などでも面白いボールタッチを見せる。一方で単純なフィジカルバトルには不安も残るため、使い方が難しくなってくるかもしれない。使い方が難しい選手ではあるが、3節ではヘディングで素晴らしい得点を決めた。チームのエース候補となるだろう。

・Key Player

ウェズ・モーガン

「イングランド生まれチャンピオンシップ育ち」という称号がここまで似合う男はいない。フィジカルバトルへの圧倒的な強さに加え、ずば抜けたメンタルの強さを誇る最終ラインの仕事人。現地実況も、「これがチャンピオンシップの男だ!なんという魂溢れるプレー!」とダイビングヘッドでのクリアを絶賛していた。初戦はルカク、2戦目はジエゴ・コスタと、錚々たる面子との殴り合いでも十分な仕事をこなし、3戦目は若きアーセナルのサノゴにチャンピオンシップの厳しさを教え込んだ。

・Potential Player

リヤド・マフレズ

昨年の冬に捨て値で買ってきたアルジェリアの若きアタッカーは、プレミアで一気にスターへの階段を駆け上がりそうな雰囲気を放っている。特筆すべきは若さに似合わぬ利他性で、しっかりとドリブルをしながらも周りの選手を使っていくことを忘れない。スピードに乗っていくタイプというより、重心を高めに保っていくことで相手に次の動きを読ませないようなプレーをこなしていくタイプ。間違いなくレスターの攻撃を背負う存在。

エステバン・カンビアッソ

そつのない散らしに加え、その経験に裏打ちされた緻密なポジショニングで守備を引き締めるアルゼンチン人MF。昨シーズンのインテルでも難しい戦術の舵取りを高いレベルでこなしており、レスターにとっては大きな補強になるはず。激しさに緻密さを加えられるか。

・Deadline Deal

トム・ローレンス

マンチェスター・ユナイテッドの次世代の7番候補とまで言われたことのあるウインガー。完全移籍での加入だが、買戻しオプションもついているようだ。パンチ力のあるシュートが持ち味で、主戦場の左サイドから切れ込んでミドルという得意パターンを持つ。

ニック・パウエル

ジェラードと比較されるほどの長距離砲を持つマンチェスター・ユナイテッドの若きMFがローン加入。ウィガンで昨年7得点と、チームでもトップクラスのスコアラーとして活躍した。MFではあるものの、ウィガンではチーム事情からFWを任されたことも。プレーの幅は間違いなく昨年の経験で広がったはず。トップレベルでインパクトを残せるか。