いよいよ明日に迫ったキリンチャレンジカップ2014。アギーレジャパン発足後3戦目となる相手は、日本がW杯で初めて得点を記録した相手でもあるジャマイカ代表だ。

1998年大会以来、ジャマイカ代表はW杯への出場経験がない。カリブ海地域が参加するカリビアンカップでは2008年、2010年と連覇するなど相変わらずの強さを見せているが、メキシコやコスタリカも参加するゴールドカップではベスト8が精一杯。最新のFIFAランキングは100位で世界に知られるスター選手も不在であり、実力的には日本より格下であることは間違いなさそうだ。

しかし、そんなジャマイカにも当然注意すべき選手がいる。それが、Qolyでも他に先駆けてご紹介している 驚異の跳躍力を誇るFW“ダレン・マトックスである。

マトックスの名が世界へと知れ渡ったのは、やはりこの映像がきっかけだろう。2012年のMLS、FCトロント戦で見せたこの驚異のジャンプは大きな話題となり、 人気サッカーゲーム『ウイニングイレブン』でもそのジャンプ力の能力値は最大値99に設定されたという。

【垂直跳びは異次元のレベルか】

このほど 日本サッカー協会がジャマイカ代表の来日メンバーを発表したが、その中には無事マトックスも含まれていた。ジャマイカというチームは日本人にとって決して身近なチームではない。しかし、「この超人的なスキルを持つ選手をどう防ぐのか」という観点で代表戦を楽しむのも悪くはないはずだ。

そんなマトックスとのエアバトルが今から楽しみな選手が日本にもいる。FC東京に所属し、ブラジルW杯にも出場した森重真人である。

DFながらメキシコ人ハビエル・アギーレ新体制では中盤の底、ちょうどメキシコ代表におけるラファエル・マルケスのような扱いを受けている森重。今回は中盤での登録になっているが、吉田麻也(サウサンプトン/ENG)や昌子源(鹿島アントラーズ)の負傷離脱もあり、本職であるセンターバックでの起用も報じられている。いずれにせよ、FWマトックスとのマッチアップは随所に見られるだろう。

では世界的に著名なTVゲームでジャンプの値を99にも設定される“世界一の跳躍王”マトックスに対し、森重に勝機はあるだろうか?答えは大きな声で"YES"だ。

マトックスの身体能力、とりわけ跳躍力は確かに異次元で垂直飛びであればサッカー界で彼に敵う選手はいないかもしれない。しかし、本格的にサッカーを始めたのが大学時代なだけあってそれほど駆け引きやポジショニングに長けておらず、また、やや華奢な体格なこともあり競り合いを得意とはしていないのである。実際、彼のハイライトを見ると、セットプレーなどで競り合いを制してゴールをあげることはほとんどないことが分かる。

対して森重は滞空時間の長い跳躍力もそうだが、ボールの落ちどころの予測とタイミングに長け、相手の背中と浮力を利用して覆いかぶさるように競り勝つ、言わばエアバトルのプロフェッショナルである。両者のタイプは対照的で、単純な競り合いであればはっきり言って森重の圧勝であろう。

Qolyでこれだけ持ち上げておきながら恐縮であるが、マトックスを世界的に有名にした伝説の一齣は、今インターネットで多用されている言葉を引用すれば“奇跡の一枚”ならぬ“奇跡のワンシーン”に近いものだったのである。

【これぞ奇跡の一枚】

とはいえ、このワンシーンにより周囲が彼の虚像を作り上げただけで、マトックスのスピードを生かしたサイドもしくは1.5列目辺りからの飛び出しが脅威であることに変わりはない。単純なスピード勝負になれば森重一人で止めるのは厳しく、彼の得意な形に持ち込ませないことが大切だろう。

キリンチャレンジカップ2014日本代表対ジャマイカ代表の試合は、日本時間10月10日(金)午後時よりデンカビッグスワンスタジアムでキックオフ。テレビ中継は全国フジテレビ系列で19時より開始。

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