冬の移籍を前に、各チームメンバーの補強についての話題がつきない。その中で「ファイナンシャル・フェアプレー制度(以下、FFP)にひっかかったために冬の補強が制限された」というニュースを聞いたことはないだろうか?
FFPは、簡単に言うと赤字経営を禁止し、収入の中で身の丈にあったチーム運営をしなさいというルールである。このFFPはUEFAが定めたルールで欧州クラブの経営健全化を目指したものだが、世界各国にはまた独自のルール(レギュレーション)が多数存在しているのをご存じだろうか?今回はその中から幾つかを取り上げたいと思う。
1.オランダ:EU外の外国人選手は最低年俸約7000万円
元日本代表FW平山相太が筑波大学からヘラクレスへ移籍した頃に制定されたレギュレーション。外国人選手の制限をとらっぱらった代わりに外国選手を取りすぎない様な歯止めとして作られた。
最低年俸5000万円(35万ユーロ)(現在は約7000万円(50万ユーロ))を支払うのは予算が10億円にも満たない中小クラブが多いオランダではかなり厳しいと言えるため、実質数人しか獲得できないというわけだ。
この様な方法での制限はドイツなどでも見られるが、一方でドイツでは1チーム12人の"自国人"枠を設けている。オランダもその例にならって自国人枠が存在している。
2. ロシア:外国籍選手の獲得は制限しない
イタリアやイングランドなど外国籍選手の補強に厳しい国と違い、ロシアやウクライナでは外国籍選手の獲得はいたって自由である。
このルールが制定されて以降、ロシアのクラブチームはお金に物を言わせるオーナーと相まって欧州列強のリーグから高年俸を約束して選手を引き抜くという"ロシアン・バブル"が生まれた。
しかし、ロシアのチームはたくさん選手を獲得しても契約期間終了まで放出をしないでため込む癖があるので、出場機会に乏しかったり、ロシアの環境に馴染めなくても選手は出ていくことが許されない。元ブラジル代表FWヴァグネル・ラヴがロシアから移籍が決まった時に泣いて喜んだのは有名な話だ。