そう、敵将であるモウリーニョ監督がジェラードを拍手で出迎え、握手をしたのだ。

これは試合後の出来事ではない。決勝進出のかかった準決勝の試合中の話だ。

何よりも結果にこだわり、時には選手にメッセージを送るためにメディアを操りもするモウリーニョ監督。先週末に行われたスウォンジー戦も、5-0で大勝していながらも険しい表情を見せており、チームから慢心を払拭するための手段だったと思われる。

そういった彼のこだわりは、度々対戦チームの監督とトラブルを起こすことからも窺える。

そんな彼がこういった形で試合中に対戦相手の選手を讃えることは、きわめて珍しいはずである。記者会見で話していたジェラードへのリスペクトは決して嘘ではなかった。

かつてはこんなこともあったこの2人。

ジェラードのチェルシー移籍は、2004-05シーズンにおけるリヴァプールのCL制覇によって消滅したと言われている。

仮に、ジェラードがモウリーニョ監督の下でプレーしていればチェルシーはどれほど強いチームになっていただろうか。第1次政権では成し遂げられなかった欧州制覇も、ひょっとしたら可能だったかもしれない。

しかし、ジェラードという偉大なるライバルがいたからこそ、モウリーニョ監督はあれほどの結果を残せたのではないか。

また、モウリーニョという超越的なカリスマがチェルシーを強力なチームに仕上げたからこそ、ジェラードの求心力も増したのではないだろうか。

あの騒動から10年弱が経過した。憶測の域こそ出ないが、おそらく両者の間にはそれに近い感情が広がっているはずだ。

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