マンチェスター・ユナイテッドにおける応用。
必ずしも年齢だけではないが、ファン・ハールはオランダ代表で得たノウハウをマンチェスター・ユナイテッドで応用している。それは、「負荷を均等にかけない」というものだ。
戦術的理解力が高い選手、ある程度のベテラン選手、負荷に耐えうるタフな選手を選んで負荷の高い仕事を任せ、若い選手や、戦術的理解度の低い選手には負荷をかけ過ぎないようにする。ファン・ハールがW杯から好んで使用する3-5-2は、このマネジメント術と非常に噛み合うのだ。
では、マンチェスター・ユナイテッドにこの発想を当てはめてみよう。
1つ目の画像はニューカッスル戦のスターティングメンバーで、2つ目はトッテナム戦だ。勿論、細かな違いはあるものの、若手に負担をかけないようなシステムを組もうという意図が見られる。
CBの柱にはジョーンズやスモーリングといった選手が抜擢され、3バックの適応に苦しんでいるエヴァンスや新加入のロホ、若きマクネアやブラケットは軸となる選手と共に出場することが多い。また、ルーニーやキャリック、といったチームの軸として働くベテランに中盤を任せ、新加入のアンデル・エレーラや戦術理解度に難があるフェライニを助ける。現在は怪我をしているものの、ブリントもファン・ハールにとっては「負荷をかけられる選手」であることは間違いない。
前線に経験を積んだ選手を揃えているのも特徴で、ファルカオやファン・ペルシー、ルーニーといった経験豊富なメンバーが攻撃の責任を負う。こういった面もオランダ代表に近く、若きジェームズ・ウィルソン、ヤヌザイといった選手達がスーパーサブとなることも似ている。
一方で、トップ下のポジションにはある程度の自由が与えられる。現在はフアン・マタ、そして怪我から復帰すればディ・マリアが入る可能性が高いこのポジションには、守備での過多な負担はかからないはずだ。ここ数試合、非常に嵌ってきたアシュリー・ヤングとアントニオ・バレンシアの両ウイングバックも十分な経験を持ち、十分な運動量を保障出来る選手だ。