現在のコモリはマンチェスター・メトリポリタン・ユニバーシティで自らの経験をレクチャーするなど、フットボール界と一線を引いた状況にある。『Daily Mail』が紹介しているコモリの発言の後半部分からは"決断する者"としての経験を感じることができる。

ダミアン・コモリ
(元スカウト、フットボールディレクター)


「我々は意思決定の際のリスクを減らす事に挑戦している。だが、我々は人間と取引をしている。株や資産を購入するのとは違うんだよ」

「時に解決し、時に解決しない。時に人生は才能の道に辿り着き、時に負傷し、時に選手はとある場所に適応できない」

「キャロルの件が良い決断だったか悪い決断だったかについて弁明する必要がないと思っている。全体を1つとして捉えるべきだ」

「いま、人々がリヴァプールについて私に話す時、ルイス・スアレスやジョーダン・ヘンダーソンのような選手をクラブに連れてくるというファンタスティックな仕事をしたと皆が言う」

「私が得た結論は、オーナーたちが私のような立場の人にアプローチし、"長期的な投資がしたい"、"若手選手と契約したい"、"次の3年から5年後の将来を見据えたスカッドを一緒に創りあげたい"、"アカデミーと一緒に働いて欲しい"、と言ってくることさ」

「そしてそれらが始まり、数ヶ月とか数年とか経った後に言うのさ。『すまない、うまくいかない』ってね」

「"将来に照準を合わせろ"と、"若い選手たちはトップレベルと競う準備ができていない"と、同時に言うことなんてできない」

「リヴァプールを去る時、オーナーたちは私にヘンダーソン(獲得)は酷いミスだと言ってきたよ。今、彼は結果的に次のリヴァプールのキャプテンになっているし、全ての試合でレギュラーとして出ているよ」

この発言にはキャロルの獲得や放出による失敗よりもヘンダーソンの獲得を評価して欲しいという想いが溢れている。また、就任当初は短期で結果を残すよりも長期での結果を求められ、実際は短期での結果も求められるという業界の実情を知ることができる。

コモリの発言をベースにすれば、もしそれほど成績を気にせずコモリを残留させることができたなら、失敗と共に多くの成功例を生み出した可能性があるという事になる。しかし、結果を残せないものが残り続けられるほど世の中甘くはない。

人間は長期のメリットよりも短期のメリットを求めがちである。移籍が成功だったか失敗だったか。選手1人のケースでジャッジすることは容易いことだが、コモリやカイアッゾの発言を総合的に判断すると、責任がどこにあるのか明確にするのは中々難しいと感じる。

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