かつては「暴君」とまで言われた存在。誰かと衝突するのは日常茶飯事という状況であったが、近年はやや落ち着いてきている感がある。
とはいえ、やや就任から結果が出るまで時間がかかるようになっているような傾向もある。もちろんサンプル数が少すぎてなんとも言えないのだが…。
また、彼が率いていた時期のコートジボワール代表は今とは比べものにならないほど絶対的な個人能力を備えていたチームである。
全盛期のドログバ、ゾコラ、コロ・トゥレ、エブエ、サロモン・カルー、ティオテがおり、その脇をバカリ・コネやディンダーヌ、アブドゥルカデル・ケイタ、A・ボカが固め、ジェルヴィーニョとヤヤ・トゥレがワールドクラスに成長した頃だ。
(当時世界最高のFWに近い存在だったドログバ)
他の国が羨むような選手層を備えており、むしろあの戦力でアフリカを制覇できないだけで失敗だと思えるほど。試合の内容でもそれほど監督のカラーらしき組織は感じられなかった。リールやPSGの時代については、あまりにも古すぎてそれほど参考にはならない。
よって、やはり彼の場合ピックアップしなければならないのは昨年のワールドカップになるのだろう。そして、それに関しては様々な人が見て、様々な人が論評しているので、わざわざ語るべきことでもないように思える。
ともかく、この欧州のシーズンが終わっていない状態でフリーの人物、さらにワールドカップの経験を持ち、イヴィチャ・オシムの系譜に連なる監督という点を鑑みれば、取れる選択肢の中ではかなり上位にある存在であることは間違いない。
懸念される点としては、彼の傾向を考えれば予選で見ていて面白いサッカーが見られるとは限らず、時間もかかる可能性は高いということだ。
幸運にも日本はこれから重要な公式戦を控えていないため、組織力を高められるだけの猶予は長い。
もし彼が日本代表に就任するとなれば、我々ファンにとっても忍耐を持って見守る必要が出てくるだろう。そうすれば、おそらく厳しい規律にも比較的馴染める日本人のこと、必ず結果に繋げられるようになるのではないか?