ロペテギの仕組んだ罠。バイエルンの意表を突いたFCポルトのプレッシング。

ポルトのやり方の特徴は、CFのジャクソン・マルティネスがある程度低い位置まで下がってボランチのマークに参加。そして彼と入れ替わるかのように、センターハーフやウイングが積極的に内側に絞りながらプレッシングに参加していくことだ。

この形も同様だ。

高い位置を保つブラヒミはカウンターの起点としても機能する上に、中央でのプレッシングにも参加出来る。状況に応じてスピードに乗ったセンターハーフがそのままDFラインにプレッシャーをかけることも出来るこの形で、ポルトはバイエルン・ミュンヘンのDFラインに一気果敢に奇襲攻撃を仕掛けた。

ここまで積極的なプレスが来るとは思ってもいなかったのか、ブラジル人CBダンテはミスを連発。初戦において、3-1のリードを奪う番狂わせに繋げた。

図のように、3センターに近い形を採用していたバイエルン。DFラインがプレスを浴びることになれば、そこで2枚のMFが下がってDFラインをサポートする戦術で動いていた。

ポルトはその2枚を中盤とCFマルティネスで抑え込み、相手の組み立てを阻害。そこでミスを誘発し、一気に残った2人がボール狩りに向かう。バイエルンが中央からの攻撃を本線として狙っていたこともあって、この戦術は円滑に機能した。

ポルトの特殊なプレッシングスタイルが比較的解り易いのが、この場面だろう。

2人のセントラルMFが、相手のMF2人を捕まえるためにプレッシングに向かう。RWGのクアレスマがサイドバックを警戒して下がっている一方で、LWGのブラヒミは中盤中央の選手を助けるようなポジションを取っている。

中盤の厚みを一気に増して、中盤のパスサッカーを圧縮する仕掛けに、ドイツ王者も苦しめられた。

【次ページ】ペップの策(1) 中盤の関係性における牽制。