ペップ・グアルディオラの策(1) 中盤の関係性における牽制。

中央からの縦パスに強い、ポルトの守備体型を完璧に理解したペップ・グアルディオラはホームでの2ndレグ、フォーメーションを変更。ラームを右、ゲッツェを左に置く4-4-2に近いような形を採用する。

また、ボランチに起用されているはずのチアゴ・アルカンタラは、DFラインのサポートではなく、積極的に高い位置を取る。まるで、シャビ・アロンソを底に置いた4-1-3-2のような形で、バイエルンはポルトへと襲い掛かった。

ここで、チアゴが高い位置を取ろうとする動きを見せることによって、まずは相手のプレッシングを牽制する。

この場面が解りやすいだろう。チアゴ・アルカンタラは、組み立てを低い位置でサポートするのではなく、高い位置でギャップを狙っている。

DFラインの3人とシャビ・アロンソでボールを回し、他の選手を高い位置に置く攻撃的な布陣だ。

図のように、チアゴ・アルカンタラが高い位置を取ることは相手の中盤を牽制することに繋がる。状況によっては、4枚で前にプレッシャーをかけられていたところが、3枚になってしまうのである。

WhoScoredのヒートマップを見ても、チアゴ・アルカンタラが高いポジションを取っていた事が解るだろう。また、彼は左右に動き回りながら両サイドからの攻撃をサポート。非常に自由にポジションを取っていた。

この構成により、CBへのプレッシャーは弱まる。CBがボールを前に持ち運ぶような場面が増えたのも、この変化によってもたらされたものだった。

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