ペップ・グアルディオラの策(3) 先制点を生んだ、SBのポジション取り。
ユップ・ハインケス時代にダビド・アラバがやっていた役割の様に、右サイドバックのラフィーニャが中盤のように内側でボールを受ける。その代わりに、フィリップ・ラームが外に幅を取って行く。
何度となく自分の裏から攻撃を仕掛けられたブラヒミは、フィリップ・ラームのマークを意識に刷り込まれている。本来はウイングのブラヒミがサイドバックのラフィーニャに、サイドバックがサイドハーフのフィリップ・ラームをマークしたいところなのだが、ここでもトーマス・ミュラーによってSBが中央に動かされてしまっている。
こうなると、「相手のSBをポルトのCMFが見なければならない」という状況。3センターは出来る限り中央を守るのが理想なので、この時点で既にバランスが崩されてしまっている。この場面で、更にバランスを崩すリスクを冒してまで、右サイドに厳しく当たることも難しい。
実際、この場面は最初の失点に繋がった場面だ。
ここから、ポルトの右サイドバックが極端に絞った事で生まれた逆サイドのスペースにボールが入る。そして、そのまま守備で若干劣るクアレスマの所を突破。
中盤のバランスが崩されていることで、ポルトは走り込むチアゴ・アルカンタラを捉えることに失敗。そのままヘディングを決められてしまう。
コーナーキックからの2点目は流れの中での得点ではないが、3点目の右サイドからの崩しもプレスを誘発させ、ブラヒミの裏に生まれたスペースを狙った形だった。