そんなジェラードはこの日、何度か惜しいパスを通したもののチームを勝利に導くことはできなかった。

そして79分、ブレンダン・ロジャーズ監督はジェラードに替えルーカス・レイヴァを投入するのだが、ここで意外な反応が待っていた。

あれだけジェラードをネタにして盛り上がっていたチェルシーファンが、拍手で彼を出迎えたのだ。

誤解を恐れずに言えば、第四審が選手交代のボードを掲示した時、スタジアムには一瞬ブーイングのようなものが起きた。しかし、そういった反応はあくまでも一部であり、スタンフォード・ブリッジは徐々に拍手で溢れていった。映像を見ると、ジョゼ・モウリーニョ監督やボールボーイの少年もジェラードに敬意を表しているのが分かる。

試合後、ジェラードはこの歓声について「リヴァプールファンからの喝采の方がより嬉しかったよ。チェルシーファンも何秒か敬意を表してくれたけど、試合中ずっと私に対してやりたい放題していたからね」コメントしている。やはり心中は穏やかではなかったようだ。

そして、これまで度々名勝負を繰り広げてきたジョゼ・モウリーニョについて問われたジェラードはこのように語った。その最後の一言が非常にメッセージ性の強いものだった。

スティーヴン・ジェラード(リヴァプール)

「私はジョゼ・モウリーニョをとても尊敬している。彼は世界で最高の監督だよ。

もしもリヴァプールファンでなければ、私は彼と3度も契約を結んでいたよ。しかし、みんな知っての通り私はこのクラブを愛している。

もしリヴァプールで2-3回トロフィーを獲得できれば、それはチェルシーやインテル、レアル・マドリーで10-12回優勝すること以上に意味があるのだと私は思うよ」

それは、世界中のリヴァプールファンを震わせる言葉であると同時に、なぜ相手チームのサポーターが拍手で出迎えたのかを説明するのに十分なメッセージだった。

“アンフィールドの魂”と呼ばれた男のリヴァプールでの冒険は、あと2試合である。

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