スアレスから見た決勝弾
2014年のブラジルワールドカップ後、“噛みつき”による長期出場停止が決まっている中でリヴァプールからバルセロナへ移籍したスアレス。
年が明けシーズン後半に入る頃にはチームメイトとの連携も深まり、メッシ、ネイマールとの南米3トップ「MSN」はその破壊力を大きく増していった。そして、この決勝点。自身初のビッグイヤーに相応しい仕事を果たしたことは間違いない。
ゴールにつながったのは、スアレスの特徴的なオフザボールの動きだ。このとき、彼には大体4つの選択肢があった。
1.ニアサイドへ走り込む
2.中央へ走り込む
3.ファーサイドへ走り込む
4.その場にとどまる
得点シーンを見ると分かるように、メッシが左に相手を交わした時点でスアレスはスペースへ入ることを選択。この時点で4の判断は外した。となると、後はコースである。
点取り屋といわれる選手たちに共通しているのは、「ここに来たら絶対に決める」という自身の能力を加味した状況判断、“見極め”の精度と意志の強さだ。最近の日本人選手でいえば川又堅碁が印象的で、アルビレックス新潟から2012年に期限付き移籍したJ2のファジアーノ岡山で自らの形を掴んだ彼は、新潟へ戻った後もゴールを量産。名古屋グランパスへの移籍を経て、今年、日本代表デビューも飾っている。
とはいえ、この場面でスアレスが発揮したのは少し異なり、「ここに来たら絶対に“決まる”」という感覚の方だ。
時折ピッチで見せるエキセントリックな行動から感覚派と思われがちなスアレスだが、プレーに関してはかなり論理的。一番わかりやすいのが彼のアシストの多さだろう。
メッシが決定機を迎えたことを確認したスアレスは、まずブッフォンの状態を把握。そして、瞬時にファーサイドのスペース、つまり3のコースを取ることが一番得点の確率が高いと判断し、結果それは正しかった。
さすがスアレス!という見事な判断力のゴールである。
ただこのゴール、決してスアレスだけの好プレーではない。