「力点」と「着眼点」の違い
では、二人は一体何を訴えているのでしょう。
日本サッカー協会では、今回の立候補に当たって二人から提出された「活動書類」をホームページ上で公開しました。本編のPDF版への直リンクと、それを要約したフットボールチャンネルの記事が以下のURLにあります。
JFA公式 「役員の選任及び会長の選定について」内
「会長候補者」
http://www.jfa.jp/about_jfa/election/list/
フットボールチャンネル 「JFA新会長はどう決まる?」(既述)内
「日本サッカーをたくましくする。原博実専務理事」
http://www.footballchannel.jp/2015/12/15/post125908/2/
「魅力あるサッカーで世界トップ10を目指す。田嶋幸三副会長」
http://www.footballchannel.jp/2015/12/15/post125908/3/
そして、正式に会長選が告示された2015年1月21日、朝日新聞東京本社内のホールで田嶋と原の二人、そしてJFA理事でもある解説者の北澤豪と元「サッカーマガジン」編集長の大住良之を交えたシンポジウム「協会会長候補と語る『日本サッカーの明日』」が開催されました。
同新聞の潮智史編集委員が司会となり、90分を超えたこの模様は、翌日の朝日新聞に掲載されました。シンポジウムの詳しい内容は、ぜひ同紙で(笑)。
朝日新聞デジタル 2016年1月22日付
「日本サッカー協会会長選告示 田嶋氏と原氏がシンポ参加」
http://www.asahi.com/articles/ASJ1P5QP5J1PUTQP02C.html
「自分が出てきても拍手が少ない、この緊張感は予想していなかった」という北澤のボヤキの後、「何か良く見知った顔がたくさんいますね」という壇上からの冗談で笑いも出た記者席の片隅から見た印象としては、二人ともお互いの主張に賛同する点も多そうだという事です。特に田嶋は、原が話している間に何度もうなずいていました。どちらが会長になっても、お互いの全面否定という事にはならず、日本サッカーの根本的な理念の変更も無さそうです。
ただ、約200億円というスポーツ団体としては突出した規模の予算を使い、人口減少社会の中で2050年に登録者数1000万人を目指すという強気の「JFA2005年宣言」、拡大と試行錯誤が続くJリーグ、アンダー世代での不振がトップにも波及しつつある男子代表と、多くの課題を抱える日本サッカーをどう導いていくのか、その「力点」には明確な差がありました。これは間違いなく、二人の日常活動や経験から来る「着眼点」の違いから来るものでしょう。