改めて整理する、二人の主張

今までの記事やシンポジウムでの発言を元にまとめたのが、次の表2です。

<表2>二人の候補者の主張

JFA会長選挙
出典:各種記事・候補者資料より筆者作成

プレゼン資料での内容充実を含め、日本サッカーの方向性を幅広い観点から見ているのが田嶋です。田嶋はU-22代表の団長としてカタールに帯同し、この告示とシンポジウムが終わってから再び現地に戻っていますが(イラン戦は間に合ったのでしょうか)、特に自分が関わってきたユース年代の育成について強い危機感を持ち、そこの改善を「育成日本の復活」として最も重視しています。また、FIFA理事という立場から世界のサッカーの動向を見られる利点もあります。

一方、原は「Jリーグ」と「地域」という、ファン・サポーターを含めた「サッカーファミリー」のグラスルーツ(草の根)に根ざした視点から改革しようとしています。JFAに登録しなくともサッカーは出来るので市区町村リーグや大学の同好会などで活動しているチームは多くいますが、この選手達にどれだけ魅力的な協会を作っていくか、あるいはJクラブの国際化や地域密着にどう関わるか。これは「代表選手もJ監督も協会スタッフも経験してきた」と自負する、現場で生きてきた原だから言える部分です。

この二人の違いは、JFAアカデミーというエリート育成システムへの熱意にも反映されます。自分が率先して設置し、シンポジウムで大住から出た「まだJ1でめぼしい活躍をした選手がいない」という指摘に対しては「1期生でもまだ22歳だしJリーグの選手自体は多く出ている、女子では(山根や菅澤のような)成果もある」と反論した田嶋に対し、「トレセン制度を含めた見直し」には触れながらも、10代ではアンダー代表にはいなかった長友佑都などの例を出して代表選手育成の多様性を評価する原は大きな反応を見せませんでした。

そんなわけで、まずは二人の候補者の経歴を振り返りながら、その主張の違いを分析してみました。

(その2)では、選挙の意義と問題点について私見を述べた後で、31日の投票はどうなると見るか、そして私はどう考えるかなどを書きます……ああ、また頭が痛くなってきた(苦笑)。

>>>その2「田嶋vs原!史上初のJFA会長選挙が大接戦になりそうなワケ」

筆者名:駒場野/中西正紀

サッカーデータベースサイト「RSSSF」の日本人メンバー。Jリーグ発足時・パソコン通信時代からのサッカーファン。FIFA.comでは日本国内開催のW杯予選で試合速報を担当中。他に歴史・鉄道・政治などで執筆を続け、「ピッチの外側」にも視野を広げる。思う事は「資料室でもサッカーは楽しめる」。

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