―アジア最終予選が終わって一週間ほどが経ちました。冷静にサッカーや戦術面のお話をお聞きしたいんですけども、特に初戦のオーストラリア戦、ディフェンスラインが下がってしまう、少し重心の低いサッカーをしてしまったというところが個人的には敗因の一つだったんじゃないかなと思っています。その点、カナダのワールドカップでも常に相手陣内に押し込んでのサッカーではなくて、比較的重心の低いサッカーで勝ち上がってきました。そのカナダ以後、アジア最終予選に向けて、戦術として監督としてやろうとしてきたこと、それから今回の敗退を受けて次のなでしこジャパンにとってどういう形でそういう戦術面での差を埋めて、また世界で覇権を取りたいと思っていらっしゃいますでしょうか?

佐々木「ドイツのワールドカップ後、ロンドン、年々の世界大会で本当に各国のレベルが個の質も技術も上がってきています。以前はアバウトだった攻守に渡っての戦術が非常に密になってきました。

そういう意味で、今我々も攻守にアクションといった質を高めて世界で戦っています。個の質をまたさらに上げた中で組織的に融合していかなければいけない。

若い選手たちも含めて進行形ですごく成長させているという状況で、今チームに合わせた時に世界レベルにあるかといった時になかなか厳しいところが現状はまだまだあると思います。

そういった相手の個のパワーやテクニックをボカしながら、状況を見ながら戦う。実際にカナダのワールドカップでは非常にもう厳しいであろうということを踏まえながら戦って、なんとか1点差が続いた中で勝ちました。

そういったところの趣向を変えたというのは現実的にあります。それもアジアの状況でもレベルは感じていました。

またピッチに水をまいてスピーディなサッカーをするというトライした時に、連携した中での守備という中では止める、蹴るというのが非常に質が上がってきたのはアジアの中でもあります。そこを掻い潜られてしまうと、どうしても後ろは状況が厳しくなって下がらざるをえない。

そういう状況があって、第一戦は自分たちがイニシャーチブを取ろうとしたところを逆に取られたんだと思います。

それは一応覚悟はしました。もちろんその中でも結果を出さなきくてはいけないので、セットプレーの工夫であったり、しっかりボールを動かすんですけどももっと高い位置を取るためにはポイントがあるよ、というのは戦略としては準備はしっかりしたつもりです。

それがまだまだ浸透せずに第一戦、第二戦、第三戦ではイニシャーチブを取れなかったんじゃないかなと思います。

これからは個の質ということと、世界の進捗が非常に上がってきているので、個を活かすような戦術を徹底していなかないといけないと痛感したアジアの予選、そして先日のワールドカップだったと思っております」

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