―大仁さんからも『なでしこスタイル』というお話がありましたけど、佐々木監督が指揮してこれだけ結果を出せた理由、要因みたいなところをどうお考えでしょうか?

大仁「日本の女子全体だと思うんですけど、技術レベルは高いと思います。世界と比べた時に。

それと全員で攻撃、守備をする。その辺のチーム戦術をよく理解しみんなで同じような考えで攻撃の時、守備の時に動けると。そういうところがこれまでのなでしこの強さだったと感じています」

佐々木「え、僕?

U-19の代表のコーチとU-19を指揮させていただいた時にですね、U-19の中で女子のクオリティの高さ、そしてボールを持っていない時の連携、連動する質。こういったものを活かしていくことによって攻撃や守備は非常に進化するんじゃないかということを感じました。

僕自身、NTT関東というアマチュアのチームを指揮した時にですね、フィジカルがあまり高いレベルではない中でも、連携や連動をするという指揮をしながらなんとかある程度結果を出すことができた。

それからオファーをいただいてなでしこの選手を見た時に、『フィジカルはあまりない。けど連携、連動する質があるんじゃないか』と思いました。技術もまぁまぁあると。

その頃まだ女子委員長だった大仁さんにオファーをいただいて女子の世界に入ってきたわけですけども、それがなんとか力になれたということ。そういったところを活かしきってこれまでやってきたということ。

そういったところが僕自身はなんとか皆と融合しながらできたのかなと思いました」

―女性のチームを率いる上でいろいろ大変なご苦労があったかと思うんですけど、特に気をつけていたことや苦労なことがありましたら是非教えていただきたいと思います。

佐々木「男性が女性を指揮する時に『大変じゃないか』と皆さんすぐ口にするんですけれども、そういう指揮をした人に言われたくないなっていうのは一つあるんですけど、皆さんがそう思うよりも選手たちはひとりひとり志しが高いですし、僕自身は男性を指導するのとそんなに変わらなかったんじゃないかなと思います。

しかし、もちろん異性であることに間違いはないですから、そこは一線を引くということは現実にありました。

僕自身のパーソナリティとして、なんとかここまでこれたのももちろん選手も気を配ってくれた中でこれまでの活動だったんじゃないかと思います。

ですから、特別に僕自身は鎧を着てなにか片意地を張って指導をしたつもりはなかったので、残念ながら僕はそんなに『女性だから』ということの中で大変だったとは特には感じませんでした」

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