--欧州サッカーではメンタルの重要性が高まっているという意見があります。

昔と比べて、技術やフィジカルの進歩が著しいと思います。情報共有社会にあって高度なトレーニングをみんなができるようになった。以前ほど全体としてフィジカルや技術面での差がないのではないでしょうか?となると、メンタルが差をつけるのだと思います。

良いスポーツカーであっても、ドライバーが下手だったら意味がないですよね。そういうことだと思います。

--サッカー選手でこの人は感情を良くコントロールできているな、という人はいますか?

「心を整える」という本を出された長谷部選手、実際に体幹のトレーニングなどで自らをコミットしそれを実現している長友佑都選手らでしょうか。彼らはセルフコントロールに長けている。怒りも大きく見ればセルフコントロールの1つですから共通するところは多いです。

勿論、昨年アンガーマネジメント大賞を受賞した三浦知良選手もです。歳をとればどうしても若い頃より能力は落ちる、そこをカバーするのはメンタルですから。

--実際に日本のサッカークラブで実践されているところはあるのでしょうか?

残念ながらまだありません。とあるJリーグのクラブからは興味をもらったのですが、実現をすることはできませんでした。コーチングスタッフと選手全員が一緒にプログラムを実践するための時間を確保できない、というのが理由でした。

フィジカルのトレーニングには時間を割いてもメンタルのトレーニングには時間がとれない、というのが日本のスポーツシーンでの現状でしょうか。

--メンタルというと見えないものだけに鍛えられているかどうかはわかりづらいですね。逆に僕らが毎日簡単にできる意識づけやトレーニング法はあるのでしょうか?

「アンガーログ」(怒りの記録)を、毎日地道にとることが有効です。「アンガーログ」とは、自身が1.いつ、2.どこで、3.誰の(何の)、4.どのような行動(事柄)に対して、5.なぜ、6.どのように、怒りを感じ、その怒りは7.1(最小)~10(最大)の数値で表現すると、どの程度なのかという点について、簡単にメモを取ることです。

アンガーログをしばらく続けることで、自分が怒りを感じるポイント、つまり怒りの傾向がわかります。傾向がわかれば、対策が立てられ、怒りを軽減することができます。たとえば、アンガーログから「出勤時の混雑している電車」にイライラする、という傾向がわかったとします。この場合、「混雑している電車」に遭遇しないような時間帯に出勤する、「混雑している電車」に乗ることになった際に、音楽を聴く等、意識を紛らわせる方法を用意しておく、などの対策が考えられます。

このように「アンガーログ」をとることで、あなたが怒るシチュエーションを客観的に把握し、その対策を立てることで、徐々に不要な怒りに振り回されない自分になることができるのです。

--本日はお時間ありがとうございました。

【外部リンク】日本アンガーマネジメント協会

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