『BBC』は、今年難民となってイングランドに渡ったシリア人GKファハド・サラーの特集記事を掲載した。

ファハド・ムハンマド・サラーは1985年生まれの31歳。13歳からシリアの名門クラブであるアル・カラーマーに所属し、代表でも活躍した名GKムサーブ・バルフスのサブを務めていた選手だ。

AFCチャンピオンズリーグやAFCカップも経験し、国内リーグやカップ戦では多くのタイトルも手に入れている。

しかし、彼はシリアの混乱によってUAEに移籍し、さらにヨルダンで2年間プレーした後、国連の支援プログラムによって昨年末にイングランドのノッティンガムシャーへと渡ったのだ。

シリアでは2011年3月に始まった民主化運動以来、25万人以上が戦闘によって死亡している。

アル・カラーマーは最大の都市ホムスのクラブであり、ファハド・サラーのチームメイトもその運動に関与した。

上記のムサーブ・バルフスは反乱分子を匿ったとして逮捕され、1年間サッカー界から姿を消した。アル・カラーマーのチームメイトであったアハマド・スウィダンとジハード・カッサーブは、アサド政権による拷問によって殺害された。

自分たちの家を失ったファハド・サラーは国を抜け出し、そして最終的にイングランドへたどり着いた。彼は通訳を通してこのように話したという。

ファハド・サラー

「家を失うことは、命を失うよりもずっとマシだ。家族を救わなければならないタイミングだった。

何が起きたのか、何か残っていないか、それを確かめるために一度家に戻ったが、全ては焼かれていたよ。

ゲストルームには僕の記念品、メダル、トロフィーが全て飾ってあった。それはなかった。すべてが消えていたよ。

努力して手に入れた家だ。人生の故郷に定めた場所だ。今はもうそれはない」

(チームメイトだった二人が拷問で殺された)

「彼らは子供の頃から一緒にプレーした人たちだ。多くのものを共有してきた。ファンに喜びを与えてきた男たちだよ」

【次ページ】「負担をかけるために英国に来たわけじゃない」