ロナウジーニョ

「父は、君に『創造的にプレーしろ』『自由なスタイルでサッカーをしよう』と教えてくれた人だ。ボールを持って遊ぼうと。

彼は誰よりも君のことを信じてくれていた人だ。ロベルトがその前年にグレミオでプレーし始めたとき、父はあらゆる人に話していた。

『ロベルトはいいよ。しかし、これから来る彼の弟を見ておけよ』と。

父はスーパーヒーローだった。サッカーを心から愛し、造船所での仕事を終えたら、週末にはグレミオのスタジアムで警備員をしていた」

「君はすぐに悲しみを感じることはないはずだ。それは後から来る。数年後、君は父親が二度と戻ってこないことを受け入れるだろう。

しかし、理解しておいてほしいのは、ボールは常に君の足にあるということだ。父は君とともにある。

サッカーをする時、君は自由だ。幸せだ。まるでヒーリング・ミュージックのようなものだ。その感覚は、君に『この楽しみを広げたい』と思わせてくれるだろう。

君はラッキーだよ。なぜなら、ロベルトがいるからだ。10歳年上の彼がグレミオでプレーしていて、君のために動いてくれる。

彼はただの兄弟ではない。父親代わりになる。そして、それ以上の存在にも。君にとって、彼はヒーローになるんだ。

君は彼のようにプレーしたいと願う。君は彼のようになりたいと願う。毎朝、君はグレミオのことを思う。そして、ユースでプレーし始める。

ロベルトとともにロッカールームに入る。毎晩ベッドに入れば、自分のあこがれの選手と寝室をともにする。

ポスターも何もないベッドルームには、小さなテレビだけがある。それ以上はなにもいらない。なぜなら、試合を見る時間はないからね。遠征に出ていない時、ロベルトは君をもっとプレーさせようと連れて行くからだ。

ポルトアレグレに住んでいるときには、ギャングやドラッグのような危ないものもあるだろう。難しいものだが、できるだけサッカーをしよう。道で、公園で、犬とともに。

そうだ。犬について言っておかないとね。彼は疲れることのないディフェンダーだよ。

君はロベルトとともにプレーするだろう。他の子供と共に、公園で年上の人々と。ただ、最終的には皆疲れる。君はもっとプレーしたい。そんな時は犬のボンボンを相手にサッカーをするんだ。

ボンボンは雑種だ。リアルなブラジルの犬だ。ブラジルの犬は、フットボールを愛している。彼は素晴らしい練習相手になるよ。

おそらく、『エラシコ』の最初の相手になるのが彼になるはずだ。ヨーロッパでプレーし始めたら、何人かのディフェンダーがボンボンを思い起こさせるだろうね」

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