さて、サポーターや選手からするとLED照明機器の導入はどのようなメリットがあるのだろうか?
アウェイチームにLEDの洗礼
まずは、スタジアムの周りを明るく照らすことで犯罪抑止効果がある。特に青色など落ち着く色調は、例えば性犯罪が起きにくくなるというデータがあり夜遅くスタジアムから帰るといったシーンの安全性が確保できる。
青色LEDはちょっとホームアドバンテージな使い方もできるという。例えば、味方のロッカールームには闘争心をかきたてる赤色のLED、敵方のロッカールームには落ち着いてしまう青色のLEDを初期設定しておけば、変えない限りはそのままサブリミナル効果のようなものが生まれるのだとか。
帰りも飲食も楽々
また、ライティングを使った誘導、導線作りもセレッソのスタジアムでは行っていきたいという。実際に物販や飲食店へのナビゲーションや、出口の場所を照らすといった電光掲示板的なものを多数使うことでわかりやすい環境を作っていけるからだ。
セレッソ大阪の新スタジアム2020年予想図3
どこに何があるかスタジアム内で迷うような苦労はしなくてもすみそうだし、素晴らしいスタジアムというのは良い雰囲気を作りサポーターの誇りになる。ライバルチームであるガンバ大阪が新スタジアムで話題になっただけにセレッソとしては負けられないといったところだろうか。今回の記者会見では『市民プライド」という言葉を用いて「唯一無二の経験を創り上げる」説明されていた。
選手にとってもいいことづくめ?
次に意外なことだが、現在のフィリップスの照明機器は光の角度が変えられるために「まぶしくない」「高いボールを追うことができる」といったメリットもあるという。プロ野球の世界では日中、目の下を黒く塗りつぶして光対策をしたものだが、LEDは明るくてもそうした心配はなく、反対に暗くてボールを見失うこともない。
記者会見に臨む玉田稔社長(中央)ほか
このようにLED照明が見せる新しいスタジアム像を見ると考えさせられるものがある。確かに田舎の牧歌的なスタジアムにいけば、その雰囲気の良さとは別にトイレや売店付近は薄暗かったりするし、夜道が暗かったりする。日本ならばいざ知らず、海外では夜道で怖い目にあったことだってある。サッカー観戦は決して安全一辺倒ではないし、試合以外のシーンだって多い。大衆化にはこうしたいらぬ心配は排除しなければならないし、エンターテインメントとしては試合以外のことも考えなければならない。
セレッソ大阪を運営する大阪サッカークラブ株式会社代表取締役社長の玉田稔氏は言う。「3万人規模の新スタジアムの建設を予定している。新スタジアムでプレーするのが楽しみ、観るのが楽しみと思ってもらえるような場所にしたい」と。