その中でも危険な「UAEの強み」
選手がかなり欠けているのは間違いのない事実である。しかしそれも当然サッカーの一部であり、彼らも覚悟していることだろう。
残ったメンバーにも大きな強みがあり、そこに注意しなければ日本代表には未来はない。
やはりUAEでもっとも警戒すべきは、最高のスター選手であるオーマル・アブドゥラフマンであろう。
このところは一時期の無双状態とは言えないものの、それでもその存在感は圧倒的であり、しかも自身が所属するアル・アインの本拠地での戦いだ。
会場にはオーマルを崇拝するファンもやってくるだろうし、実力を遺憾なく発揮できる状況は整っている。
圧倒的なテクニックを武器としている絶対的司令塔であり、トリッキーなドリブルや精度の高いキック、さらに広い視野から繰り出す早いタイミングでのラストパスが武器だ。
UAEでは華美な髪型などが禁止されているのだが、彼のアフロヘアーは「特別扱い」。それだけでもオーマル・アブドゥラフマンの重要性が分かろうと言うものだ。
そして、これまで何度も書いてきたが筆者(編集部K)が愛してやまないストライカー、アリ・マブフートには注意が必要だ。
圧倒的なスピードを持ちながらも、それを活かしながら全く得点力を失わないという稀有な才能を持つアタッカーだ。
トップでもサイドでもプレーすることができ、裏抜けからでもドリブル突破からでもゴールを狙える。
2015年のアジアカップで日本を相手に決めたゴールも非常に印象的だ。オーマルの浮き玉から抜け出し、そこから早いタイミングでシュートに持ち込んだものだった。
そして、彼は今季絶好調だ。首位を走るアル・ジャジーラでは、20試合の出場で26ゴール(!)ととんでもないペース。オーマル以上にアンタッチャブルである。
とにかく、相手の攻撃陣を抑えることができればチャンスは出てくる。UAEの最終ラインは決して安定しているわけではない。
カウンターに注意しながらも攻める展開を継続できるかどうか。長谷部を欠く守備陣に重要なタスクが求められるだろう。