――続いて話題を右サイドから左サイドに移します。Twitterアンケートでは、得票率65%で齋藤学が断トツ一位。二位は「その他」。三位はヴィッセル神戸の大森晃太郎、四位は清水エスパルスの白崎凌兵という結果でした。

予想以上に偏りましたね。たしかに、齋藤のパフォーマンスは賞賛に値すると思いますが、ここまで差が広がるとは思っていませんでした。

――カレンさんから見る、今季の齋藤はどういう印象でしょうか?

シーズン開幕前に海外移籍騒動で揺れた中での横浜FMへの残留だったので、実は、「このプレッシャーに耐えられるだろうか…」と心配していました。ですが、杞憂でしたね。背番号も10に変わり、逞しさを身にまとったというか。良い意味で「マリノスはオレのチームだ」という気構えも感じられるようになりました。

プレー面で言うと、「取れるようで取れない」あのドリブルが目立ちますが、もはや単なるドリブラーではありません。「ドリブル」と言えば、「突破」という言葉が枕詞のようについてきますが、彼のそれは本当に異質。

「ドリブルでゲームを作る」という表現が正しいかわかりませんが、相手を抜き去るだけではなく、マーカーをひきつけて味方に預けたり、仕掛けの間合いからラストパスを放ったり、その選択肢は無限です。あのボールタッチでなおかつ周囲が見えているわけですが、敵に回すと本当に厄介でしょうね。

未だノーゴールで「決定的なプレーが少ない」という意見もあるようですが、彼がいるだけで、周りの選手が助けられているということを忘れてはならないかと。

ただ、当然、いずれのチームも「齋藤封じ」を練ってきます。対柏レイソル戦のように見事にハマってしまった試合もありました。シーズンも折り返し、ここからその包囲網は厳しくなると思うので、彼がどのように攻略していくかにも注目したいです。

――大森や白崎については?

大森については、「驚かされた」というのが正直な感想です。ガンバ大阪時代から彼を見ていましたが、ヴィッセル神戸でここまで進化するとは思っていなかったので。

元々、攻守両面でアグレッシブに働き回るタイプでしたが、そこに質が加わりましたね。ドリブル、パス、シュートの三拍子のグレードが上がった印象です。とりわけ、ゴール前で見せるシュートは意欲、精度共に抜群。個人的には、Jリーグの中盤の中では川崎フロンターレの中村憲剛、阿部浩之と並び、彼も「ベストシューター」の一人だと思っています。

多少ムラッ気があるのは玉に瑕ですが、このパフォーマンスを継続して欲しいです。ポドルスキとも相性が良さそうな気がしますし、さらに印象的なプレーを見せてくれるかもしれません。

白崎は、まさに「現代型の10番」ですね。ハイレベルな技術力を備えながら、そこに溺れることはなく、運動量もJリーグトップクラス。アシストもゴールも期待できますし、監督も使いやすいタイプではないでしょうか。上述の大森と特徴は似ていますが、点で合わせる動きやゴール嗅覚は彼が勝っているのではないでしょうか。

ただ、今季に関して言うと、そこまで強い印象はないです。悪くはないのですが、もう少しやれる選手だと思っています。これからという時に怪我(6月4日のFC東京戦で右脛腓靭帯結合部損傷。全治3ヶ月との診断)を負ってしまいましたし、後半戦に期待ですかね。

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