ドイツ、スペインと日本の違い
――クラブではドイツやスペインでもプレーし世界を間近に見てきましたが、世界のトップレベルと日本のサッカーを比べたとき、自身がもっとも強く感じた差はどこにありますか?
純粋にドイツと日本で比べたら、日本のほうが技術的にはレベルが高いと思います。ただ、球際や激しさはまったく違いますし、一試合一試合にかける思いは向こうのほうが全然強いです。「一対一で技術勝負をしてみろ」といわれたら日本人のほうがしなやかで柔らかさもあると思いますが、それよりも戦う気持ちだったりとか一つのバトルにかける思いだったりとか。そこがやっぱり一番重要なところで、そこで負けたら意味がないです。いくらテクニックがあって上手くても、体ごと来られたらかわせない選手もいますし。とはいえ、ドイツのブンデスリーガにももちろんたくさん上手い選手はいますが、単純に一対一で見たときには日本人選手のほうが技術はあると思いました。
スペインに関しては確実に日本よりも上だと思います。全然違いました。そこにプラスして激しかったですね。そんなに激しくないのかなと思って行きましたけど、ガツガツしていました。
――ドイツやスペインだと戦術的な部分もかなり要求されるんですか?
僕がプレーしたのは中位から下位に位置するニュルンベルクとハノーファーだったので、とりあえず「戦え」としか言われてなかったですね。上位のチームはもっとしっかりとした戦術があって自分たちがしたいサッカーを表現できますが、やはり下のほうのチームは生き残るために必死です。自分たちが描いている理想のサッカーはありますけどなかなか試合ではできないので、後ろに引いて強いチームにはカウンターを仕掛けるというのを4年間やりました。
ハノーファーのときに一時期タイフン・コルクトという監督がいて、この監督がポゼッション志向ですごく良いサッカーができていたんです。でもなかなか結果が出なくて途中解任されてしまいました。その後はやっぱりがっつり引くというか、守備的なサッカーになりましたね。
――ドイツ代表とスペイン代表についてはそれぞれどういったイメージを持っていますか?
代表クラスになるとそんなに変わらないです。スペインのほうが技術はあるしポゼッション率とかは高いと思いますけど、ドイツ代表のメンバーを見てもみんな上手い選手なのでそこまで差はないと思います。
――山口さんはドイツとスペインについてどんなイメージを持っていますか?adidasとしても代表ではトップクラスのチームですが。
山口 アルゼンチンなども含めてですが、選手だけでなく国としてサッカー文化が染み付いているなと。そこは違うと感じますね。
――Jリーグには現在、元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキや、今もちょうどスペイン代表で噂になっている選手がいます。彼らのような選手が日本に来ることについてどう思いますか?
ポドルスキ選手が来ると聞いたときは「おっ」と思いましたけど、今回、イニエスタ選手の名前を聞いたときは正直「マジか!」と(笑)。今バルセロナで普通に試合に出ていて、ついこの間も活躍していましたし、あれを見たら…山口蛍とも「もし日本に来たらどんなことを思うんだろうな」と話していました。セビージャ時代にスーペルコパで対戦して、そのときはコンディションが良くなかった感じであまり目立っていなかったんですけど、ひとつひとつのプレーはやっぱり上手かったです。自分と同じぐらいの身長で、あの上手さは何なのだろうと…。
――仮にドイツやスペインと日本代表が対戦する場合、注意することはどのあたりになるでしょうか?
日本は監督が代わったばかりなので何とも想像しづらいですね。戦術、フォーメーション、選手、すべてが未知数なので…とりあえず引いてという感じになるんじゃないでしょうか。
※ワールドカップでも注目の両国。そして、この選手は果たして日本に来るのか…。