課題山積の守備
次に守備面に話を移すが、こちらは攻撃面と比べるとそこまで「脅威」には感じないだろう。
基本的なルールは前述の通りだが、「困った時は一度引く」という点が徹底されており、日本にとってはピンチを招く可能性の高い「前からのプレッシング」は行ってこない。
仮に筆者がベルギーの監督の立場であれば、ドリース・メルテンスではなくマルアヌ・フェライニを起用して前線の守備意識とボール奪取力を強化。そして、「オールコートプレス」を仕掛け、早めに試合を決めてしまう展開に持ち込むが、おそらく、ロベルト・マルティネスはそのような奇策には出ないだろう。
フェライニは、ベルギーでも屈指の空中戦の強さとボールキープ力、そしてリーチの長いタックルがあり、彼が起用された際には日本にとって最も厄介な存在になり得るのだが…。
また、守備の特徴としては「アザールの攻め残り」も触れておくべきだろう。
アザールは「5-4-1」守備陣形の「4」の左サイドにポジションを取るが、彼が守備時に与えられている仕事はボールを奪うことではなく、カウンターの機会を狙うことにある。
そのため、相手サイドバックがオーバーラップした際のチェックもほぼカラスコに任せ、自身が行うのはパスコースの間(いわゆる中間ポジション)に立つぐらいで、自身深くまでマークに奔走することはない。
つまり、その貢献度の低さから、ベルギーの左サイドは守備時に数的不利になることが多い。
右サイドのムニエよりもボールに対して近い距離で守備をしたがるヤニック・カラスコのマーキング能力、セントラルミッドフィルダーのアクセル・ヴィツェルのカバーリング能力、左センターバックのヤン・ヴェルトンゲンの危機察知能力などでなんとか誤魔化しているシーンが散見されるが実状だ。
以上のことから、日本は(カウンターの起点となるアザールに対しては長谷部誠が付くことでリスクマネージメントできれば)、酒井宏樹と原口元気の縦関係、さらにそこにトップ下の香川真司も絡む形で、右サイドからの攻撃がキーになるのではないだろうか。