ベルギーの基本戦術とは?
まずはベルギーのシステム的な特徴を簡単に触れていこくとにしよう。
基本的なフォーメーションは「3-4-2-1」で、ベルギー不動の陣形である。
ロベルト・マルティネス監督は「大会前まで4バックも用意してくるのではないか」という話もあったが、(一昨年に行われた)ワールドカップ予選のボスニア・ヘルツェゴビナとの一戦で採用して以降、オプションにすらしていない。彼がここで「奇襲」を仕掛ける可能性は極めて低く、日本戦も限りなく100%の確率でこの「3-4-2-1」を敷くだろう。
なお、この「3-4-2-1」は豊富なタレント陣を持て余さないように考えられたフォーメーションという印象が強い。
ロメル・ルカク、エデン・アザール、ドリース・メルテンス、ケヴィン・デ・ブライネはもちろんのこと、サイドにも右のトマ・ムニエ(or ナセル・シャドリ)、左のヤニック・カラスコ(or トルガン・アザール)と実力者を置いている点も忘れてはならないポイントだ。
そのため、この両ウィングバックが攻撃に関与するケースも非常に多く、攻撃時には「3-1-3-3(3-1-1-5)」とも表しても過言ではないほど「前掛り」な陣形になることも少なくない。
しかし、その一方の守備では、前線の守備力があまり計算できない(守備に労力を割かせたくない)ため、相手のビルドアップに対して積極的にボールを奪うような戦術はほとんど見られない。
なるべく「敵陣での試合を進めること」を理想としており、守勢に回った際には潔く引く点も特徴の一つと言えるだろう。
つまり、相手にボールを奪われた際のルールとして、①カウンタープレスを行い、ショートカウンターを防ぐ(可能であれば複数で囲い、再び自分たちのボールにする)②ボールホルダーに行く選手以外は帰陣できる準備を行い、ボールを取り損ねた場合は、両ウィングバックが下がり「5-4-1」の形を取るという共通理解をチーム全体で持っているわけだ。
よって、試合前の事前情報としては、以下のことを頭に入れておくのがよいだろう。
ベルギーの攻撃時(日本代表が守勢に回る際)
前線に人数をかけた「3-1-3-3」のような陣形を取り、デ・ブライネは自由に移動。アザールも左サイドから中央に積極的に顔を出し、ハーフスペースやセンターエリアでもボールを触る。
ベルギーの守備時(日本がボールを持った際)
引く位置で守備ブロックを敷いた「5-4-1」に。5バックの前に4人のMFを置いてのブロックを敷くが、左のアザールはカウンター要員としてそこまで下がらない。
※カウンタープレス・・・相手陣地でボールを奪われた際に、近くの選手がボールを奪った選手に対して奪い返しに行き、相手チームが簡単にカウンターを行わないようにする戦術。スペイン、ドイツ代表などがその代表格。