━━続いて、先ほどのロベルト・バッジョとも関連するところはありますが、チームメイトや対戦した相手選手の中で「この選手はファンタジスタだなや「自分が彼らの世界やタイミングに引きずり込まれている…」みたいに感じた選手がいれば教えてください。

岩政
「天才」ということで言えば、野沢拓也(鹿島アントラーズ時代に岩政と共に活躍した、攻撃的MF。昨季は豪州二部でプレー)かな。

━━その心は?

岩政
もう天才過ぎて意味がわからない(笑)

サッカー選手としての巧さで言うと、他にもいるとは思いますが、「こいつ、何考えているの?」というのが非常にわかりづらかったですね。頭の構造自体が違うか、頭の中の何かの回路が違うのかなと見てましたね。

━━自分のプレーで「あ、何かいつもと違う感覚でプレーできているな」と感じたことはありますか?

岩政
それはありましたよ。その状態をいかにして作り出そうかと考えながらプレーしていました。

最後の局面の瞬間にいかに無意識状態を作れるかが重要で理想的なんです。周りの人はそれを「ゾーン」と呼んだりすると思いますが。

ただ、その状態を作り出すことが難しい。色々な条件がハマった時に初めて起こるんですよ。体もメンタルも整っている、そして、緊張すぎ、緩めすぎもダメ。狙っていてもなかなか毎回はなれません。

━━同じ質問で能登選手はいかがでしょう?

能登
育成年代で一番衝撃を受けたのは柿谷曜一朗さんですかね。一つ上の年齢ですが、はるか上の存在でした。

「ちょっと右足ケガしてん。だから、左足でフリーキック蹴るわ」と言った後、試合中に本当に決めちゃうんですよ(笑)次元が違うなと思った選手の一人です。

もう少し年齢が上になってからで言えば、ドイツのハノーファーでトップチームに参加していた時のパンダ―とかですかね。

「なんでこいつの左足、こんなに蹴れるんや」「どんな構造やねん」っていつも見てました(笑)

でも、パンダ―だけではなく、各選手が凄まじい武器を持っていたので、「あ、こういうレベルの選手がトップになっていくんだ」と勉強させられましたね。

で、これからもっと学べそうだなと思ったところで、怪我しちゃったんですけど(笑)まぁ、これも僕の人生です(笑)