得点源だった上田の移籍後にチャンスメイクとフィニッシュを両立する形となったエースは、そのバランスに苦心することになる。自身が中盤に降りて組み立てに関与すると、ゴール前での脅威が失われるというジレンマを抱えていたからだ。

その意味で、鈴木の持ち味を最大限活かすには、やはり「2トップの一角で起用する」ということになる。前半3分に決めた豪快なヘディング弾、そして垣田の追加点を演出した浮き球パスで1ゴール1アシストを記録し、全得点に絡んだ新潟戦でのハイパフォーマンスに、最適解が見えた。

とはいえ、鈴木の良さを活かすには、得点力のある“相棒”が不可欠となる。新潟戦で鹿島での初得点を決めた垣田、または加入1年目でチーム2位のリーグ戦3ゴールをマークしている知念が務めそうだが、継続性という面では未知数な部分がある。両名の出来次第では、今夏の移籍ウインドーで外国籍FWの獲得も視野に入るだろう。

監督交代はあり得るのか?

リーグ戦4連敗からの連勝で9位へ浮上したが、決して安堵はできない。ヴィッセル神戸に力の差を見せつけられた2週間前のチーム状態はどん底だった。勝ち点を積み上げて巻き返せるか、真価が問われるのはここからだ。

今後の結果によっては、岩政大樹監督の解任もあり得るかもしれない。なぜなら、近年の鹿島はシーズン途中の監督交代に躊躇がないからだ。まとめると以下の通りとなる。

  • 2015シーズン:7月下旬にトニーニョ・セレーゾ監督を解任、石井正忠コーチが昇格
  • 2017シーズン:5月末に石井監督を解任、大岩剛コーチが昇格
  • 2021シーズン:4月中旬にザーゴ監督を解任、相馬直樹コーチが昇格
  • 2022シーズン:8月上旬にレネ・ヴァイラー監督が退任、岩政コーチが昇格

特に昨季のヴァイラー監督退任は、リリース時点で5位だったこともあり波紋を呼んだ。順位に関係なく、クラブの将来を見据えて迅速に決断する姿勢をフロントは見せており、過去の例を踏まえれば、神戸戦の後に監督交代があってもおかしくはなかった。