だが、アルビレックス新潟戦およびガンバ大阪戦の戦いぶりを見る限り、再び不振に陥ったとしても、監督交代が最善策とは言い切れないと感じる。新潟戦での修正力(戦術面と大胆な選手起用)、そして選手たちのリバウンドメンタリティはまるで監督交代を断行した直後のようだった。つまり、「疑似的な監督交代」だったと形容できるのだ。

また、現在のチームを立て直すことができるのは、クラブの伝統を知る人物に限られるだろう。現役時代に鹿島でプレー、またはクラブOBのお墨付きがある人物でなければ、このクラブの特殊性を理解することは難しい。フロントとサポーターの厳しい視線、“ジーコ・スピリット”と呼ばれる哲学および文化を受容できるか。2007~09シーズンのリーグ3連覇を最終ラインから支えた岩政監督以外に、苦境を脱する適任者は考えにくいはずだ。

さらに今シーズンは、来季からJ1・J2・J3各カテゴリーのクラブ数が20クラブに統一されることに伴い、J2降格は最下位の1チームのみとなる。このレギュレーションを念頭に置けば、終盤戦で残留争いに巻き込まれない限り、岩政監督の解任はおそらくないと見る。

チーム状況をさらに上向かせるには、連勝の勢いを落とさないことが必須となる。次節の北海道コンサドーレ札幌戦、第12節のセレッソ大阪戦とゴールデンウィークの連戦で勝ち点を奪いたい。新潟とG大阪はポゼッション型のチームであり、守備の狙いを明確に設定しやすかった面がある。札幌戦およびC大阪戦は、連勝の勢いが本物であることを証明する場になりそうだ。

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そして、試金石となるのが、5月14日に国立競技場で行われる第13節の名古屋グランパス戦だ。リーグトップタイの6失点(第10節終了時点)と堅牢な守備、切れ味鋭いカウンターで上位につける相手に対し、強度で上回ることができるか。岩政体制の現在地を知る重要な一戦となるに違いない。

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