そうした事情もあり、鹿児島市は新スタジアム建設に関する議論を活発化。
2020年の鹿児島市長選で初当選した下鶴隆央市長のもと3つの候補地を選定して計画を進めるなど、“前のめり”と言えるほどの動きを近年見せている。
その中心地となってきたのが、複合商業施設ドルフィンポート(DP)跡地を含む本港区エリアである。
ところが、この本港区エリアで鹿児島市が新スタジアム建設の候補地とした2か所、「DP跡地(本港新町)」と「住吉町15番街区」はいずれも県有地。
本来であれば鹿児島市は鹿児島県と緊密にやり取りしながら議論を進めるべきだったが、上述の通り市側が“前のめり”だったこともあり、県との調整がうまくいかないまま現在に至っている(このあたりは詳細に書くと非常に長くなってしまうので割愛)。
DP跡地は海を隔てて桜島を真正面にとらえることができる風光明媚な場所。ここに巨大なスタジアムを建てることは市民の中にも否定的な声が根強い。鹿児島県はDP跡地に老朽化した県総合体育館を新設する構想を着々と進めており、その場合は隣接する緑地も残す予定だという。
鹿児島市は今月上旬、本港区エリアの2か所をスタジアム建設の候補地から外し、新たに同エリア内の「北ふ頭」を候補地として挙げた。ただ、ここでの整備は港湾計画の見直しが必要になるため時間がかかるとされる。
また、鹿児島県の塩田康一知事は白波スタジアムの改修も選択肢の一つとしており、方向性はいまだに定まっていない。