男子と女子、同じピッチだからこそ「違う魅力が出る」

――先日、吉田麻也選手がラジオで「女子のサッカーを盛り上げるためにはフィールドを小さくすべきなんじゃないか」と話していたんですが、現場にいらっしゃる方はどのように感じてらっしゃるんですか?

ルールを男子サッカーと違うものにするというのは抵抗がありますね。私も今年A級ライセンスを取りに行ったとき、同じカリキュラムを受講していた方に言われました。

「女子のテクニカルな部分はすごく魅力がある。技術はとても高い。コートの幅を狭くしたりしたらめっちゃ面白いんじゃない?」みたいな話をされて。

たしかにそれはそうなのかもしれないんですけど、やったほうが良いかどうかと言えばあまり賛成ではないですね。

「男子と同じだからこそやりたい」という子も多いですし、ピッチが同じだから違う魅力があると思うんです。

ダイナミックさという点では欠けるところはありますが、その分別の魅力がある。そこを見ていただけるようになればと…。「同じように見ようとする」から比較になってしまうだけで、比べずに女子サッカーは女子のスタイルがあると。バレーボールもそうじゃないですか。

――ラリーが続く女子と、一発の凄さがある男子と。

ダイナミックさではもちろん魅力はないかもしれませんが、それ以外のところにはありますから。「女子サッカーってこんなところがあるんだ」「こういうサッカーができるんだ」というのを見ていただけたらいいのかなと。

女子サッカーは、これから進化できる伸びしろがまだまだあるので。それも楽しみなところだと思います。

スパイクは「デザインで選ばない」のが大切

――男子と女子の違いと言えば、最近の研究結果で「女子選手は男子よりも数倍膝の怪我が多い」という話がありました。一つの原因は月経の存在や肉体の違いと言われていて…。

そうですね、骨盤が内旋しているとか。

――もう一つは、女子の足の形に合わせた専用のスパイクがない。これが原因なのでは…と言われているのですが、育成にも関わる中で感じたことはありますか?

育成年代で、ちょうど女性の体に変化が現れてくるんですよね。そこがとても難しいんです。膝だけでなく疲労骨折、中足骨骨折は多いです。高校年代を見ていたときも、人工芝の弊害もあって怪我が多かったですね。

一つ言えるのは、スパイク選びは間違いなく重要だということです。その人の体に合っているかどうかもとても大事ですし、あとは人工芝にも対応できるのかどうかも重要になります。土とは違うコンディションですし。

それは本当に負担にならない靴なのかどうか。女の子は、デザインで選んじゃう傾向があるので(笑)。

色や形で選ぶ前に、本当に自分に合っているのかどうかを見るのが重要ですね。

それと、あとは怪我しない体作りを意図的にしなければいけないですね。男の子のようにやっていれば自然と筋肉がつくわけではないので。

男子と比べると、栄養が筋肉よりも皮下脂肪になる比率が多い。そのような生理的な現象を阻止することはできないので、怪我しないようにどこをどう強化していくか…というのは今後の課題だと思いますね。