理想のサッカー

青森山田は個の力を生かしたサイドアタック、優れた身体能力を生かしたセットプレー攻勢、激しいプレッシングをかけて高い位置からボールを奪って攻めるショートカウンターなどが目立つが、時折ボールを保持しながら緻密な連係で崩すポゼッションフットボールを見せることもある。変幻自在の青森山田サッカーの神髄を尋ねた。

――今季のチームを拝見して、ときには縦に速く、ときには丁寧につなぎ、これらを両立する場面もありました。正木監督が青森山田で実現したい理想のサッカーを教えてください。

ずっと前から黒田監督と一緒に掲げていたことが、「なんでもできるサッカー」、「なんでもできる選手」。

チームが掲げている目標が日本一なので、日本一になるチームはどういうチームかと考えたときに、相手に応じてやれるかどうかというところが本当に大事になってくると思います。

また選手としてもここがゴールじゃなく、この先大学、プロ、アマチュアでやる選手といろいろいると思います。どのステージに行ったとしても、なにか一つしかできないのであれば勝負をできないと思っています。

自分の武器を磨きつつもさまざまなことに適応できる選手を育てたいと思っています。総合的に言うと、なんでもできるチーム・選手を育成したいと考えてやっています。

――ポゼッションだと戦術として仕込むのに時間がかかるといわれます。逆にカウンターだと完成は早いけど、戦術としての劣化が早いと聞きます。両立する難しさを教えてください。

結局判断だと思っています。どの相手であろうが、どんな状況であろうが。結局サッカーはゴールを奪う競技であって、1番シンプルにゴールを目指す方法があるのであれば、それを徹底的にやればいいと思います。

それがロングボールなのか、サイドからのドリブルなのか、クロスなのか、もしくはポゼッションなのか。相手の状況、ゲームの状況で分かれてくると思います。

ポゼッションも、結局ボールを動かすことが目的ではなくてゴールを奪うことが目的です。それが理解されていればそんなに(準備する)時間がかかることでもないと思います。両立するには必ず判断、相手の状況を見ること、判断することがベースにあればそんなに難しいことではないかなという気がしています。