個性の強い選手たちをまとめる難しさ

これまで多くのプロ選手を輩出してきた青森山田高。選手たちは優れた技術を持つ一方で強烈な個性を持つ選手たちも数多くいる。そのためマネジメントは簡単ではない。

――青森山田は優れた選手が多く集まりますが、その分個性が強い選手も多い傾向があります。個性的な選手たちをまとめることは大変そうですね。

部員が200人いますから、200人の部員がいれば200人の個性があります。我が強いもの・弱いもの、協調性があるもの・ないものと多々います。ただウチにくる子たちはみんな目標にしていることにブレがありません。

そういった意味では選手たちの高いモチベーション、志があって、それをベースにみんなに落とし込んでいます。だから(まとめることは)当然難しいです。いまでも完璧にみんながまとめ上がっているというわけではないですし、発展途上のところもいっぱいあります。

ただちょっとズレたときに軌道修正して、さきほどいったように一人、一人にどれだけ目を向けられるかという点が指導者としてのスキルにもなってくるのかなという気がします。

でも難しいですよ。200人いる部員をまとめ上げることは(笑)。

我々であれば他にスタッフがいて、トレーナーがいて、学校の先生がいて、色々な形でやってくれています。一人でまとめることは無理なので、まず根幹となるスタッフや、チームであればキャプテンや学年の代表がいます。

そういう方々ときっちりと共通理解をしていけばやれるんじゃないかなと思います。一人の力では絶対無理だと思っています。

――指導した教え子の皆さまは卒業後にさまざまなシーンで活躍されています。どのように選手たちを成長させて世に送り出したいですか。

社会に出て1番変わることは、導いてくれる人がいなくなることです。自立しなきゃいけないので、ここでも自立ということはかなりテーマとして掲げています。だからなんでもかんでもゆったりやらせれば自立しない子供になってしまいます。

ある程度自由を与えるところは与えながら、その中でちょっとずれたなというところを修正する。それを繰り返しています。やはり自立というところは一つありますね。自立した生徒(を送り出すこと)ですかね。というのは案外思っていますね。

――嵯峨理久選手(J2いわきFC)、髙橋壱晟選手(J2ジェフユナイテッド千葉)らOBが人生の師に正木監督の名前を挙げることがあります。人間教育で心がけていることを教えてください。

一人、一人個性があるので、一人、一人とできるだけ会話して、触れ合うことを心掛けています。監督になったからといって特別距離が遠くなったわけでもなく、ただメリハリをつけなきゃいけない。そこはかなり意識しています。

でも個人、個人、試合出ている、出ていない関係なく、できるだけ全部員と会話しながらやれればと思っています。