Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊によるレポートをお届けします。

二人の大物、香川真司と清武弘嗣の移籍動向が騒がれるセレッソ大阪。セレッソは22節試合前は5位でギリギリ優勝争いにくらいついている状況、10位東京ヴェルディとの試合を振り返ります。

相変わらずの粘り強さ・ヴェルディ

一言で表すならば、物凄くヴェルディらしい試合だった。

前半42分、山田楓喜がカピシャーバを追った際、ボールではなくカピシャーバのアキレス腱付近に後ろから足裏でタックルにいってしまう愚かな一発退場で10人になるも、後半早々にPKで先制したのはヴェルディ。そしてその後セレッソの猛攻を耐えに耐えて逆転は許さず、粘り強く守りきって勝ち点1を獲得。

45分以上を10人で戦う厳しい状況の中で貴重なドローであり、選手皆全力出し切ったのが見ていて伝わってくるので、これ以上求めるのはさすがに酷。この粘り強さはまさに今季のヴェルディらしい戦い方。まだシーズン折り返し地点過ぎたあたりではあるが、まず間違いなく今季はJ1残留可能な状況。

守りだけではなく攻めに関しても狙いが明確で、前線の山田剛綺、山見大登の動きだしがとても良かった。ロングボールに合わせる山見達の抜け出しをセレッソ守備陣は捕まえきれず、前線でボールを受けてそのまま決定機に至る狙いが見事にはまっていた。

しかし、流れの中で決められず得点はPKのみ。逆にセレッソはレオ・セアラが流れからしっかり決めて今季16点目を叩き出して得点ランキングのトップを走っており、このあたりが「決定力=金」を具現化している構図となっていた。資金力さえあればヴェルディももう少し勝ち点を積み上げられるが致し方ない。

セレッソは優勝争い厳しいか

ヴェルディはチーム状況・戦力的に全力を出し切った戦いだったが、逆にセレッソは前半の戦い方含めて負けに等しいドロー。

前半はDFラインでしかビルドアップできず、中盤をヴェルディにしっかり潰されてしまい、攻め手に欠ける苦しさ。後半14分に投入された柴山昌也がとにかくシュートを撃ち続け、狭い中でもボールを受けて仕掛ける等、変化を付けてリズムを作り最後はレオ・セアラが押し込んだ形だが、ヴェルディが11人のままだったなら普通に負けていた展開。

山田楓喜の退場も、「前半の戦い方見る限り数的有利を活かせなさそう」と思っていたらその通り、ヴェルディに先制を許してしまう厳しさ。

優勝争いをするチームなら、この試合で逆転に至り勝ち点3を積み上げるが、逆転できず勝ち点1どまりのため、今季のセレッソは優勝争い参戦はおそらく厳しいと思われる。

試合前、首位町田との勝ち点差は8だったが、試合後は勝ち点差10に広がった。3位鹿島、4位ガンバ大阪も快勝したため、より優勝レースから後退した形となる。

ライター:中坊

1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2023年終了時点で962試合観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
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