Qolyアンバサダーのコラムニスト、仙太郎によるレポートをお届けします。

2024年パリオリンピック男子サッカー決勝戦は、まさにサッカーの醍醐味が詰まった一戦でした。対戦したのは、開催国フランスと、技術と戦術に優れたスペイン。異なるスタイルを持つ両チームが激突し、観客を魅了しました。

フランスのフィジカル優位戦術

フランスはフィジカルを重視したプレースタイルが特徴で、特に守備時には4-3-3のフォーメーションを採用。前線から激しくプレッシャーをかけるのではなく、パスコースを制限することで相手の攻撃を抑え、ボランチが素早くボールを奪ってカウンターに転じるという戦術をとっていました。この戦術が序盤に功を奏し、フランスは先制点を奪い、主導権を握るかに見えました。

スペインの戦術的対応

しかし、スペインはフランスの戦術を見抜き、サイドチェンジを多用してフランス中盤三枚のサイドのスペースを突き、そこに数的優位や同数の状況を作り出しました。サイドに起点を作れたスペインはそこあら前半に3得点を挙げ、試合を逆転。この展開は、スペインの技術と戦術理解の高さを如実に示すものでした。スペインがサイドから攻撃する場面では、フランスのサイドバックが前に前進し守備に参加した際に生じた裏のスペースをうまく突き、フランスの守備陣を苦しめました。

フランスの巻き返し

後半に入ると、フランスはさらなるプレスをかけて巻き返しを図りました。スペインのディフェンスをドリブルで崩し、ついにはペナルティキックを獲得。これを確実に決めて土壇場で同点に追いつき、試合は延長戦へともつれ込みます。地元フランスのスタジアムは興奮に包まれ、フランスの逆転勝利が期待されました。

スペインの冷静な対応と決定力

しかし、スペインは主力選手を交代させながらも、延長戦で再び主導権を握ります。フランスのプレスが弱まると、再びパスワークを活かして決勝点を奪い、さらには追加点も決めて試合を決定づけました。スペインの選手層の厚さや戦術の柔軟性が、この試合で大きく光った瞬間でした。

試合の総括

この試合は、両チームが自らのスタイルを貫いたことで非常に魅力的な試合となりました。しかし、フランスが一つの戦術に固執したのに対し、スペインはフランスの戦術に対応しつつ、勝利を掴むための柔軟性を見せました。また、両チームのゴールキーパーのクオリティの差も結果に大きく影響したと感じます。スペインのGKは重要な場面でのセーブを何度も見せ、その技術と戦術理解度の高さが際立っていました。

この決勝戦は、サッカーにおける戦術の多様性と、試合の流れに応じた対応力の重要性を再認識させるものでした。

ライター:仙太郎
東京都でU12指導者歴12年。C級コーチライセンス、4級審判員保持。
指導者目線の独特なレポートをSNSやQolyで発信中。
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