かつて「スペインのジダン」と呼ばれた天才肌のMFが、この夏リーガ・エスパニョーラの舞台に帰ってきた。

その名はフアン・カルロス・バレロン・サンタナ。今年6月に40歳を迎えた名クラックだ。

「スーペル・デポル」と呼ばれたデポルティーボで中心選手として活躍したバレロン。現代では少なくなった10番タイプの司令塔であり、繊細なボールタッチと独特なドリブル感覚を持っていた。

そして、一撃必殺のスルーパスは見る者を魅了し、幾多のチャンスを演出。そのファンタジー溢れるプレーから同時期にスペインでプレーしていたジネディーヌ・ジダンと比較されることも少なくなく、デポルティーボを率いていたハビエル・イルレタ監督が「もう少しだけ試合に情熱を注げば、世界最高の選手になれる」と評したのは有名な話である。

ジャウミーニャからポジションを奪たバレロンはチームをCLでも例年上位に導き、2003-04シーズンにはベスト4に進出。デポルティーボの象徴的選手であり続けた。

しかし、そんなバレロンは2013年6月、13シーズンにわたって在籍したデポルティーボを退団し、当時2部だったラス・パルマスに移籍していた。ラス・パルマスとはスペイン本土から遠く離れたカナリア諸島のグラン・カナリア島にある都市であり、バレロンの生まれた町である。

そして、そのラス・パルマスがついにリーガ昇格を果たし、今シーズンからリーガ・エスパニョーラに昇格することが決定したのだ。ラス・パルマスのリーガ昇格にはあまりにドラマチックな経緯があっただけに、その喜びは一入であろう。

故郷のクラブをリーガに昇格させたバレロンすでに契約延長を発表しており、開幕戦のアトレティコ・マドリー戦で出場機会こそなかったもののベンチ入りを果たしていた。リーガの舞台でバレロンの優雅なプレーが見られるのも、おそらく時間の問題だ。

40歳になったバレロンは、どんなプレーで私たちを魅了してくれるのだろうか。待ち遠しいリーガ復帰を前に、バレロンが全盛期に見せた鮮やかすぎるプレー集を振り返ろう。

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