サッキの影響を強く受けている指揮官には、日本代表で監督を務めたアルベルト・ザッケローニもいる。

彼は、「3-4-3というシステムからのサイドアタック」という理念に拘りながら、中盤でのゾーンプレスを採用。3バックはマンツーマンに近い形を保ちつつ、中盤ではサッキのゾーンプレスを取り入れる「ミックスゾーン」で一世を風靡した。

ザッケローニやアンチェロッティとは違い、アリーゴ・サッキのスタイルを「4-4-2」というフォーメーションと共に継いでいるのがデル・ネーリジュゼッペ・サンニーノデーヴィス・マンジャの3人だろう。

特にジュゼッペ・サンニーノとデーヴィス・マンジャはサッキからの影響を公言している「サッキ信奉者」だ。デーヴィス・マンジャは現在41歳と若く、2012年から2013年にはイタリアU-21の指揮官も務めた。その際には「最も期待出来る若手指揮官」とも表現されているように、今後再びセリエAに舞い戻る可能性もある。名前を覚えておくと良いかもしれない。

2006年にイタリア代表と共にW杯を制した名将マルチェロ・リッピは、高い位置からのプレスと堅い守備を使い分けることを得意とする指揮官で、アリーゴ・サッキ的なフットボールを目指していく中で現有戦力とのバランスが悪いことに気づき、カペッロ的な要素を組み込んでいったと公言している。

同年代のカペッロからも学ぶ姿勢は、彼の1つの強みだろう。プレッシングシステムの機能美に強い拘りを持ったアリーゴ・サッキ、現実主義者のファビオ・カペッロと同じく、彼もファンタジスタと呼ばれる天才肌のMFとの衝突を繰り返した。

アントニオ・カッサーノやロベルト・バッジョとの折り合いが悪かったのは、何よりもチームの安定性を求める彼のフットボール観に起因するものだろう。W杯などでカモラネージを活用し、サイドアタックから多くのチャンスを作り出したことなどからはアリーゴ・サッキの影響も伺える。

このマルチェロ・リッピの愛弟子と考えて良さそうなのがファビオ・カンナバーロ

イタリア代表だけでなく、クラブチームでも長い時間を共にしたことで知られている。中国の広州恒大では、彼がリッピの後を継いで監督に就任した(その後退任)。

【次ページ】現実主義者カペッロ、セードルフは…