DH:橋本拳人(FC東京)

無骨ながらも実直に“ピンチの芽”を潰し続け、逞しい成長を見せつつある大型ボランチ。

どうしてもボールを奪う瞬間に目が行きがちだが、常に敵味方の位置関係を確認しながらポジショニングを調整し、ここぞと見るや鋭い出足でボールをかっさらう技術は、見ていて非常に爽快。少し前まではポリバレント性が評価され、便利屋としての扱いが目立ったが、今季はここまでFC東京の心臓部をしっかりと担い、高萩洋次郎が故障離脱後も変らぬパフォーマンスを継続している。

また、これまではあまり印象に残らなかった攻撃面でのレベルアップについても触れておきたい。上述のように敵味方の位置関係を確認できている点は、攻撃の場面でも活かされているように見受けられ、機を見た攻撃参加のタイミングやシュート時の落ち着きが増している印象だ。実際にその向上はゴールという数字にも表れており、既にここまで2ゴールを記録。今季は、昨季に彼が1シーズンをかけて積み上げた4ゴールにもすぐに追い付きそうな勢いである。

攻撃の組み立てやトップスピード時におけるサイドステップなどには大きな改善の余地があるものの、そのポテンシャルの高さは是非とも世界を目標にして欲しいレベル。個人的にも、とりわけ注目している選手の一人である。

DH:高橋義希(サガン鳥栖)

地味ではありながらもチームに与える貢献度はヒーロー級。Jリーグにおいて、走力を武器とする代表格、サガン鳥栖の屋台骨を担うダイナミズムは、30歳を越えても衰えなしだ。

今季も1試合における走行距離ランキングで毎試合のように上位を独占しているように、その運動量が取上げられることが多いが、ただ闇雲に走るのではなく、スイッチのオン・オフの切り替えの上手さもハイレベル。相手からボールを奪うだけではなく、的確なタイミングで攻め上がり、正確な技術力でチャンスを創出。第2節の川崎戦では、技ありのボレーシュートで得点も奪ってみせた。

弱冠20歳でキャプテンマークを巻くなど、若くして各方面から注目を集め、一時はJ2時代に対戦した名波浩(現ジュビロ磐田監督)から「日本代表に呼ばれてもおかしくない」と評されたこともあったが、気付いてみたら円熟の域。いかなるチーム状況においてもタスクをきっちりとこなす戦術遂行能力、そして、安定感の高さは日本代表においても力になってくれると思うのだが・・・。

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