得てして冬の移籍とは地味である。いやこれは私の主観でありバイエルンの傾向に過ぎないのかもしれないし、今まで冬の移籍市場に成立した大きな移籍をたまたま知らないだけかもしれない。(この書き出しを思いついたときにまさか例の来季「ペップ」就任が決まるとは思いもしなかった)

しかし少なくとも2011年冬にバイエルン・ミュンヘンとホッフェンハイムの間に成立した移籍は胸を張ってという表現は間違いかもしれないが、地味だったと言える。それはルイス・グスタヴォという当時23歳のブラジル人プレーヤーがバイエルンにやってくるというものだった。「えっと~…誰でしょうか?」という多くのバイエルンファンのリアクションとは裏腹にホッフェンハイムではフロントと監督が移籍をめぐって揉め、監督が退団するという事件を引き起こした。また移籍金も約1500万ユーロとなかなかの額であったことも特筆すべき点だった。

前置きが長くなったが、今のグスタヴォの立ち位置はというと、夏に鳴り物入りで入ってきた通称「4000万ユーロの男」ハビ・マルティネスと激しいポジション争いの真っただ中。そして、今は、両者共に怪我を抱えており一時休戦中といったところである。だが、外野ではこういう話もあった。

「ハビ・マルティネスによって定位置を失ったグスタヴォ冬に移籍?」

実際ヴェンゲルが獲得を打診していると噂になった。しかし、おそらくハインケスはグスタヴォを貴重な戦力と数えているので実現は非現実的であろう。ここでようやく本題に入れる。

さて、もし彼がプレミアリーグのトップクラブに移籍するとしたらどこか?こんなありがちなネタで執筆してしまうのはひとえにグスタヴォという選手を高く評価しているからなのである。

まずは前年度王者マンチェスター・シティ。

このチームにパワータイプのボランチはあふれているように思える。トゥーレ、バリー、ハビ・ガルシア、ロドウェル、ミルナー。このような同じようなタイプの汗をかいて泥をかぶれるボランチがこんなに多いのは前にタレントが揃っているからであろう。グスタヴォのSB適正があることを考慮してもシティには世界屈指のSBが4人以上はいるだろう。よってグスタヴォが入り込める余地はない。

次に同じくマンチェスターを本拠地にするユナイテッド。

このチームにこそ、グスタヴォのニーズはあるのではないか?ユナイテッドはボランチのできる頭数こそ多いものの、フィジカルに優れ守備能力に長けた選手はいないように思える。もしグスタヴォがユナイテッドに入りしたならば4-2-3-1の「2」の部分にスタメン入りし、彼の相棒役を現メンバーによって争われるのではないかとすら思える。またエヴラの後継者を探しているチーム事情からも適任であろう。ユナイテッドがいつ大枚はたいて獲得を狙っても不思議ではない。がしかし、我らがグスタヴォは決して渡さない。

次に惜しくも世界一の座を逃したチェルシー。

グスタヴォはミケルとタイプが似ているが、グスタヴォのほうが全般的に上回っていると筆者は考える。よってラミレスとのダブルボランチなどは非常に強力で、2人してセカンドボールの鬼になりそうである。また攻撃的なランパードともバランスよく組めそうだ。しかし現在ミケルがいることからしてグスタヴォの獲得は効果的ではないだろう。無論グスタヴォはヨーロッパチャンピオンに移籍しても多くの試合に出場できると思うが。

次にアーセナル。

このチームに関してはボランチに限らず多くのポジションが不足しているように思える。グスタヴォが加入すればチームの不安を少なからず取り去ることが可能になるはずだ。今はディアビの離脱に伴いウィルシャーとアルテタのダブルボランチである。ウィルシャーもアルテタも守備をやらせても超一流ではあるが、ボールを持たせたい選手でもある2人にはウィルシャーは一列前、アルテタはグスタヴォと組ませて今より守備のタスクを軽くするという提案にガナーズファンはどういう反応を示すだろうか。そしてカソルラをサイドの司令塔にすればボールが落ち着く場所を複数作ることができ、チームとして幅が広がるだろう。

最後にトッテナム。

このチームに関してはグスタヴォ云々より中盤の選手がやたら多く感じるのでボランチでの起用は考えづらい。パーカー以外ほぼ全員のボランチがグスタヴォと見た目もタイプも似ているのではないかと思えるほどだ。またスパーズのサイドバックは攻撃力を重視する傾向があるのでアス=エコトやウォーカーに比べてグスタヴォは見劣りしてしまう。

そんなこんなでグスタヴォ好きによるグスタヴォ考察をつらつら書き連ねてきた。来季グアルディオラの就任が決まった今グスタヴォのプレミア移籍も今よりは現実味を帯びるかもしれない。以上机上の空論でした。

グアルディオラ・バイエルンについては遅かれ早かれ触れることになるだろう。ではその日まで。

※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。

筆者名 平松 凌
プロフィール トッテナム、アーセナル、ユヴェントス、バレンシア、名古屋グランパスなど、好みのチームは数あるが、愛するチームはバイエルン。
ツイッター @bayernista25
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