そのような厳しい状況ではあるが、ここでコスタリカのキープレイヤーを紹介していこう。

まずは何といってもキャプテンを務めるブライアン・ルイス。190cm近い長身に華奢な体、サラッとした長髪(現在は短め)と爽やかな容姿が特徴的な好青年であるが、プレーもその印象通りで、足元の華麗なテクニックを用いた味方とのコンビネーションから正確且つ強力な左足により高い決定力を誇るFWだ。早くから将来を嘱望されてきた選手だがトゥウェンテを歴史的な初優勝に導くなどオランダで飛躍的な成長を遂げた。フラムでは英国的なパワーを重視するスタイルにあまり馴染めなかったが、今年ワールドカップを見据えてオランダへ復帰し不調のPSV立て直しに貢献。今大会もおそらく得意の右サイドでプレーするだろう。

続いては成長株のジョエル・キャンベルだ。Qolyでも2011年コパ・アメリカ前に「コスタリカのエトー」として紹介したが、同大会で活躍しイングランドのアーセナルへ電撃移籍。同い年の宮市亮と同じくレンタルの日々でフランス、スペイン、ギリシャと渡り歩いているが、オリンピアコスに在籍した今シーズンはチャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦でゴールを記録するなど成長を続けている。高い身体能力とテクニックによりドリブルからシュート、スルーパスまで1人で何でもやってのける高い個人能力はチームで一番だ。ルイスと同じく右サイドを好むがサボリオが離脱しただけに今大会はトップでの起用が濃厚。カウンターから彼の独力が期待される。

後方では守護神のケイロル・ナバスだろう。ホセ・フランシスコ・ポラスが去って以後、長くコスタリカの守護神を務めているが当初は国内クラブに所属しあくまで“中米レベル”という地味な存在であった。しかし、スペイン・レバンテへ行ってその評価を急激に高め、今では世界屈指の反射神経を持つGKとして紹介されるようになった。後輩のエステバン・アルバラードが先に欧州で実績を積みながら自身のスキャンダルによって代表から遠ざかり、今回30人のメンバーに久しぶりに復帰したものの23人からは漏れることになったが、それもナバスの存在あってこそだろう。

その他ギマラエス氏の実子で、非常に正確なロングフィードを持つコントローラーのセルソ・ボルヘス、2005年クラブ・ワールドカップで来日した際、対戦するシドニーFCの指揮官で元西ドイツ代表の“リティ”ことピエール・リトバルスキーがそのスピードと突破力を警戒したクリスティアン・ボラーニョスらがこのチームの攻撃を担う。守備陣も名前のある選手こそいないが、ドイツ・マインツ05に所属する岡崎慎司の同僚ジュニオール・ディアスがベンチに控えるなど粒揃いだ。