「銀河系集団」に、輝く恒星が集う
勿論、どこまでが計算によって裏打ちされたもので、どこまでが本能的なプレーかは本人たちにしか解らない。それでも、結果的に彼らのプレーがアトレティコを迷わせた事に疑いの余地はない。
アトレティコの強固な守備陣は、世界一のポルトガル人アタッカーと、マンチェスターで不遇の日々を過ごした小さな暗殺者によって崩れ去った。
SKYで解説をするティエリ・アンリは「チチャリートは、アシストをしたロナウドに感謝の意を表すべきで、ほとんどがロナウドのゴールだ。大げさに喜ぶのはいかがなものか」と歓喜を爆発させたチチャリートについて少し批判的にコメントした。
しかし、それは好悪というより、ティエリ・アンリがプレーしたバルセロナやアーセナルと、レアル・マドリードというチームの「スタイルの違い」に起因するものなのかもしれない。
銀河系集団レアル・マドリードは、自分たちの職人としての仕事に誇りを持つ者だけが集まる傭兵集団だ。だからこそ、彼らはそれぞれ「自ら」の完璧な仕事を誇った。
チチャリートのスペースメイクと正確なフィニッシュ、アシストに徹したクリスティアーノ・ロナウド、起点となったハメス・ロドリゲス。
3人がそれぞれゴールを決めたかのように喜びを爆発させたのは、チームとしての意識が欠如していることを表しているのではない。それが、レアルというチームの「チームワーク」なのだ。
輝く恒星はまるでそれぞれが競い合うライバルの様に、銀河の様にチームを形作っていく。
どちらの「チームワーク」に対する価値観が正しいのか。その問いの答えは、ここから続いていく欧州4強の戦いが教えてくれるのかもしれない。